
「ナイトの不確実性」とは、結果についての確率分布が全く未知であるような不確実性のことをいう。確率分布が既知である「リスク」とは異なる。
「リスク」は、確率分布が既知であるから「大数の法則」によって「保険」などによって回避できるが、「ナイトの不確実性」の下では確率分布が全く未知であるから保険などでは回避できない。逆にそこに企業家が挑戦する「利潤」の機会が存在するという。
「ナイトの不確実性」の下では、「最悪のシナリオ」における損失を最小化しようという「マクシ・ミン原理」が働き、各経済主体は「質への逃避」を行い、過度な「流動性への選好」を示す。
それが1997年のアジア通貨危機では発生した。ところがIMFは、アジア通貨危機を「流動性問題」ではなく、アジア諸国の「構造問題」であると診断を誤ってしまう。その結果、流動性を供給する「世界の中央銀行」としての機能を果たさず、アジア諸国に屈辱的な構造改革を要求してしまう。
これに懲りたアジア諸国は、巨額の外貨(ドル)蓄積およびドル連動管理相場制という安全策を採るようになる。これが「世界的な貯蓄過剰」を生み出し、それを「アメリカの内需」「経常収支赤字の拡大」が支え、ドル経済圏における未曾有の世界的好況を実現することとなった。
ところが、今度はこの事が、アメリカの住宅バブルの遠因となり、現在のサブプライム危機を生む一因となっているという。さらには、アメリカの「経常収支赤字の拡大」がどこまで持続可能なのか「ナイトの不確実性」につつまれているという。やはり、常に世界は「不確実」である。

