信長―「天下一統」の前に「悪」などなし
90年代初期の信長ブームの時代にプレジデント社から出版された信長論集が装丁を新たにして再販された。90年代は「破壊者」「カリスマ」「天才」信長礼賛の時代だったと思う。それを受けてこの本の中の当時の論者も信長を礼賛している。当時、それを読んで自分も面白がっていた記憶がある。その空気は2007年の現在では受け入れられないと思う。ちょっと前ならこの本もベストセラーだろうが、本屋で結構ひっそり売られていた。そこらあたりが面白い。つまりは、歴史上の人物の評価というのは、現代の人間の願望を託す相手として相応しければ高まり、そうでなければ下がる、非常に移ろいやすいものだ。今は信長のような人物を国民は望んでないということだろう。とはいえ、この本の論者の信長論はそれはそれで非常に面白いので一読の価値あり。