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Napoleon (1927) Abel Gance

「兵士諸君!!諸君は裸で飢えている。政府は諸君に負うところが大であるにもかかわらず、何一つ与えることができない。これらの岩山の中で諸君が示す忍耐と勇気は賞賛すべきものである。だがそれは、諸君に何ら栄光をもたらさず、諸君の上に何らの輝きを及ぼさない。私は諸君を世界一の沃野に連れて行こう。豊かな諸州、広大な諸都市が諸君の思いのままになるだろう。諸君はそこで名誉と、栄光と、富を見いだすであろう。イタリア方面軍の兵士たちよ!諸君にはもはや勇気と忍耐の精神が欠けるなどということはあるまい!」

冷徹な野心家の個性が音と映像で理解できる作品。前半は家柄による差別、同僚の嫉妬、頑迷な上司といった障害にもめげず、ひたすら自己研鑽する若き砲兵士官がツーロンの戦いで好機をものにするまでを描く。後半はフランス革命の政治的混乱の中で、幾多の政治的危機を乗り越えながら「カエサルの再来」になるまでを描く。知識としてルソーの理想を知っていたボナパルトが、革命で暴徒と化した民衆が生首を掲げて練り歩く姿を見てニヒルな笑みを浮かべたりと冷徹な野心家の個性が巧みに描かれている。テルミドールの反乱と投獄の時間的前後関係が史実と異なる。