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戦略論の原点―軍事戦略入門

戦略の総合理論を目指したアメリカ海軍ワイリー少将による本書では、先ず今までの戦略を、「順次戦略」と「累積戦略」という2つのパターンに分類した上で、「陸上戦略理論」「海上戦略理論」「航空戦略理論」「ゲリラ戦理論」とに理論的に整理している。

「順次戦略」というのは、例えば、敵野戦軍を撃滅して敵の首都を占拠すれば敵国は降伏するであろうというように、敵を攻略するための諸段階がある程度明確で、それを順次こなしていくような戦略であると理解できる。これに対して「累積戦略」というのは、海軍による経済封鎖や空軍による工業地帯の爆撃のように、その効果が敵に対して累積的にジワリジワリと発揮される戦略であると理解できる。

「陸上戦略理論」「海上戦略理論」「航空戦略理論」「ゲリラ戦理論」のそれぞれの特徴を踏まえ「順次戦略」「累積戦略」を使いこなせば勝てるのであろうが、そのためには全体を俯瞰する「総合理論」が必要となってくる。リデル・ハートの「間接アプローチ」を高く評価しつつも、ワイリー少将自身の「総合理論」が示される。

①戦略家が実戦時に目指さなければいけない最大の目標は、
自分の意図した度合いで敵をコントロールすること。
②これは、戦争のパターン(形態)を支配することによって達成される。
③この戦争のパターンの支配は、味方にとっては有利、そして敵にとって不利になるようなところへ「重心」を動かすことによって実現される。

すなわち、戦略とは、自分が優位に立てるフィールドに敵を引きずり込むこと(「重心」を動かすこと)で、敵を「コントロール」すること、と理解できる。敵野戦軍の撃滅は相手をコントロールするための一つの手段であり、目的ではないとするところに、孫子やリデル・ハートとの共通性がある。