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ナポレオン最期の日 皇帝従僕マルシャンの回想

セント・ヘレナ島に流刑となったナポレオンの日常を
従僕として最も身近で観察していたマルシャンの回想録である。
幻の作品と言われておりフランスでも戦後の1952年、1955年に公刊された。
それが日本語で読める。訳者に感謝!

ナポレオンは案の定セント・ヘレナでも読書好きであった。
ニューキャッスル号で輸送された本に入ったたくさんの木箱がロングウッドに運び込まれた。読書は皇帝にとって何よりの楽しみだった。皇帝は早く中身が見たくてたまらず、私たちといっしょになって荷解きをするほどだった。その夜は明け方まで読んだらしく、翌朝私が部屋に入って行くと、たくさんの本が床にほうり出されていた。例によって「ざっと目を通され」余り面白くなかった本たちであろう。それから何日もかけて皇帝は送られた本すべてに目を通し、分類して図書室に片付けた。(119ページ)

セント・ヘレナでのナポレオンはどんな姿であったのか。
皇帝はよく言われる肥満では決してなく、百日天下の頃と変わらない体形だった。心労で目に隈ができていたが、あの印象的な眼差しはその鋭さを失っていなかった。顔は全体的に青白く、身体中がひげそり後のようだった。(180ページ)

気さくにはしゃぐナポレオン。
小さなポンプが購入された。ポンプには車輪が付いていてどこにでも簡単に移動させることができた。サン・ドゥニかノヴェラーツが車輪を押し、皇帝が乾燥していそうな場所にホースを向けては、はしゃぎながら散水した。(199ページ)

そして、最期。
間隔を置いて出ていたしゃっくりがひんぱんになり、うわごとが漏れた。発音のはっきりしないたくさんの言葉が口をついて出た。フランス、・・・わが息子、・・・軍隊・・・。私たちが確信をもって言えることは、皇帝が最後まで案じ、最後まで考えていたのはフランスのことであり、子息のこと、そして軍隊のことであったということである。これが私たちの耳にすることができた最後の言葉となった。(302ページ)