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トルコ大統領選 100万人デモ、緊迫 軍、与党候補に反発

4月30日8時0分配信 産経新聞

 【カイロ=村上大介】厳格な政教分離を国是とするトルコの次期大統領選出をめぐり、トルコ軍が与党のイスラム系政党「公正発展党」(AKP)の擁立したギュル外相に対して強く警告。フランス通信(AFP)によると、29日もイスタンブールなどで政教分離を支持する100万人以上のデモが行われるなど緊張が高まってきた。欧州連合(EU)はトルコ軍に「政治介入」をしないよう求めており、現時点で軍のクーデターの可能性は少ないとみられているが、現地マスコミでは政治危機回避のために早期総選挙を求める論調が高まっている。

 ギュル外相は、27日に国会(定員550)で実施された第1回投票で、当選に必要な3分の2に10票足りない357票を獲得。政教分離を支持する野党勢力はボイコットしたものの、5月2日の第2回投票で3分の2が得られなくても、過半数で当選となる第3回投票(5月9日)で同氏の当選は確実となる。

 このため、政教分離政策の守護者を自任するトルコ軍は27日、参謀総長名で「必要となれば(トルコ軍は)明確に態度を表明する」などとした声明を発表し、“政治介入”も辞さない姿勢を示唆。最大野党の共和人民党(CHP)は「27日の投票は定足数の3分の2を満たしておらず無効」と憲法裁判所に提訴し、今年11月に予定されている総選挙の前倒しに持ち込もうとする動きを見せている。

 だが、AKPは軍の姿勢を「民主主義に反する」と反論、ギュル氏は29日、立候補取りやめは「問題外」と言明した。「民主主義」を尊重すれば同氏の当選は確実だが、軍をはじめとする政教分離を支持する派は元イスラム主義者の同氏が国家元首になれば「政教分離」という現代トルコ建国以来の国是が徐々に突き崩されると強く警戒。トルコは2つの政治原則をめぐりジレンマに陥っている。

自由主義と民主主義が対立した場合、
自由のない民主主義は「プレビシッド民主主義」として、
違憲立法審査権に服するというのが立憲民主主義の憲法理論である。

トルコのような国では、政教分離原則と民主主義の対立が、
国家レベルの課題として先鋭化するところに日本や欧米と異なる特殊性があり興味深い。

政教分離原則は、自由権の一つである信教の自由を支える制度
(権利か制度かといった議論はあるが)であるから、大雑把には、
自由主義と民主主義の対立に議論を収束できる。
であれば、憲法理論では基本的に政教分離原則が勝つ。

そして、トルコで憲法裁判所の役割を果たしているのは、
過去の歴史からすると事実上「軍」ということのようだ。