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カエサルの数あるエピソードの中で自分が一番好きなものは、
キリキアの海賊に拿捕された際の彼の処世術です。高校生の時、
プルタルコスとスエトニウスでこのエピソードを読み非常に感銘を受けました。
後に好敵手であったガリアのヴェルキンゲトリクスを手元に置かず、
処刑した理由というかカエサルの「本質」が現れていると思います。

塩野七生氏の『ローマ人の物語検.罐螢Ε・カエサル ルビコン以前』
にも紹介されていますが、最近、扶桑社より出版され早速読んだ
『カエサル!』(マックス・ガロ著、小林修訳)
でも、その台詞により活写されています。

ロードス島へ留学する海路、残虐なキリキアの海賊に捕らえられたカエサルは一言、
『だが私が何者なのか、おまえはまったく理解していない。20タラントで買えるほど、
私の命は安くないのだ。最低でも50タラント払う必要がある。どうせ要求するなら
金塊1800キロにしろ。要求金額が少なすぎるのは、私への侮辱だ!』
『おまえが金塊1800キロを手に入れたら、私はまたここに戻り、おまえとおまえの手下を
死刑にしてやる。これも約束しよう。』

・・・そして、身の危険はないと判断したカエサルは、ますます高慢にふるまい、
自分が眠りたい時には、従者を海賊の所へやり静かにするように言わせ、
詩の朗読や演説の聴衆に仕立て、褒めないものには悪罵の限りを尽くし、縛り首にすると脅し、
ゲームや武闘訓練をともにして、身代金の届くまでの38日間を過ごしました。
カエサルは海賊に捕われている人質ではなく、まるで彼らの首領のようでした。

・・・やがて、従者が身代金を持参し、カエサルは解放されます。
すると、カエサルは迅速に船団を組織し、海賊を急襲し全員を捕縛します。
もちろん支払った身代金も取り戻します。

・・・38日間をある意味仲間のように共にすごし、
約束どおり身代金と引換えにカエサルの命を奪わなかったため、
まさか自分達を本当に処刑するまいと思っていた海賊の首領に一言、
『私は口にしたことを必ず実行する男だ。』
そして、海賊は全員絞首刑に処せられました。

現代社会とは、さまざまな前提条件が違いますし、
偉人につきものの創作の可能性もありますが、
カエサルのこの快活な『大胆』さは見習うべきことが多いと思います。