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「怪帝ナポレオン契ぁ(鹿島茂著・講談社)を再読・・・した訳ではありません。
ふと本棚に目をやると視界に入ってきました。面白い本だったなと。

帯にはこうあります。

『「アホで間抜けなナポレオン契ぁ廚和膣岼磴ぁ
花の都パリを造り、消費資本主義を生み出した皇帝は、
貧困根絶をめざした社会改革者でもあった!?
この摩訶不思議な人物の実像を徹底的に解明する!』

この帯で謳われている功績は、どれも真実でしょう。
マルクスとユゴーによる徹底的なこき下ろしがあったにせよ、
これだけの業績をあげた「偉大なる皇帝陛下」がなぜにこんなにも
馬鹿にされるのだろうか!?

自分なりに理由を少し考えてみました。

1つ目は、軍事的栄光の欠如。

「皇帝民主主義」を標榜し内政面で国民に配慮を示したが、
軍事的栄光には欠如し「カリスマ」性を獲得できなかった。
戦争で勝利していたら、ヒトラーのように罵詈雑言を浴びせられても、
馬鹿にされることはなかったと思います。「愛される君主」を目指して
いたのでしょうか。叔父のナポレオン1世のような「畏れられる君主」
にはなりませんでした。

ただ、叔父のナポレオン1世はフランスに栄光を
もたらしましたが、結果的にフランスは疲弊し、
18世紀の時のような欧州の大国の地位を失いました。

本人は馬鹿にされて気の毒ですが、
軍事的才能がなかったことが、結果的に近代化された
フランスを国民に残したわけですから、何が国民にとっと
いいのかは人それぞれだと思います。
不必要な戦争は不幸以外の何物でもないはずですから。

2つ目は、見た目です。

「人は見た目が9割」ではないですが、
見た目で損してると思いました。
偉大な叔父さんと似ても似つかない容貌に加えて、
あの「ヒゲ」です。何もナポレオン1世・3世について
知らない小学生にどっちのほうが「カッコイイ」か選ばせたら、
間違いなく大半は1世を選ぶはずです。

ちなみに「ヒゲをつけた独裁者」のイメージが悪いのは、
ナポレオン3世からでしょうか。独裁者は「ヒゲ」をはやす
べきではありません。「ヒゲ」が当時の流行だったとしても、
後世を意識して精力的なイメージをアピールするため止めるべきでした。
ただでさえ独裁者ということで、イメージが悪くなるのはわかっていたはずですから。

とはいえ、ナポレオン1世とナポレオン3世の治世の
どちらが「楽しい」かといえば、間違いなくナポレオン3世
だったのでしょう。万博とかやってましたし。

「軍事的栄光」がなくても、「冷徹」な「政治的天才」で、
「カッコイイ見た目」のアウグストゥスは、カエサルの後継者として名声を博してます。
「石のローマを、大理石のローマに造り変えた。」なる名言も残してます。

ナポレオン3世は、フランスの「第2のアウグストゥス」
になり損ねたのでしょうか!?それともなっていたけど不当な評価を
受けているのでしょうか!?

なお、著者の鹿島茂氏の「情念戦争」(集英社インターナショナル)
は偉大なる叔父さんについての物語です。
「ナポレオンの熱狂情念」
「タレーランの移り気情念」
「フーシェの陰謀情念」
の情念戦争としてナポレオン時代を活写してます。
かなり面白いです。