「巨象も踊る」(ルイス・ガーズナー著、山岡洋一、高遠裕子訳、日本経済新聞社)を再読しました。

不信にあえぐ巨人IBMが「メインフレームのシステム360」のビジネス・モデルから、
テレビコマーシャルでお馴染みの「ソリューション」のビジネス・モデルに転換を遂げ、
復活するまでをルイス・ガーズナー自身が語った書です。

印象に残った章は、第24章『実行ー戦略には限界がある』です。

『実行能力、つまり物事をやりとげ、実現する能力は、すぐれた経営者の能力のなかで、
もっとも評価されていない部分だ。』

『結局のところ、どの競争相手も基本的におなじ武器で戦っていることが多い。』

『したがって実行こそが、成功に導く戦略のなかで決定的な部分なのだ。やりとげること、
正しくやりとげること、競争相手よりもうまくやりとげることが、将来の新しいビジョンを
夢想するより、はるかに重要である。』

あれだけの「ビジネス・モデル」の転換を遂げた人物の言葉だけに、逆に迫力があります。
『実行』とは、本当にいい言葉です。

また、ルイス・ガーズナーは、毀誉褒貶の激しい人物ですが、
リーダーシップについて語った、第25章『顔が見える指導』の中で『誠実さ』の
重要性を説いています。

『顔が見える指導を扱ったこの章の終わりに、誠実さについて触れておこう。
わたしが知り合った偉大な経営者は、全員が頑強だと言えるかもしれない(全員が
冷徹だと言えるのは確かだ。頑強と冷徹は違う)。しかし、全員が同時に公正である。
公正さと公平さは指導者が成功を収めるうえで決定的な要因である。依怙贔屓をしたり、
おなじ過ちについて何人かは大目に見ながら、他の人たちを断罪すると、士気が損なわれ、
社員から侮蔑されるようになる。』

冷徹かつ公平であれば、「信頼関係」が生まれるということでしょうか。

『冷徹』と『公平』も、本当にいい言葉です。

ただし、両者はワンセットでなければならないところが、
マネジメントの「要諦」のようです。