「兵士諸君!!諸君は裸で飢えている。政府は諸君に負うところが大であるにもかかわらず、何一つ与えることができない。これらの岩山の中で諸君が示す忍耐と勇気は賞賛すべきものである。だがそれは、諸君に何ら栄光をもたらさず、諸君の上に何らの輝きを及ぼさない。私は諸君を世界一の沃野に連れて行こう。豊かな諸州、広大な諸都市が諸君の思いのままになるだろう。諸君はそこで名誉と、栄光と、富を見いだすであろう。イタリア方面軍の兵士たちよ!諸君にはもはや勇気と忍耐の精神が欠けるなどということはあるまい!」

ボナパルト将軍の1796年3月27日のニースにおける有名な布告です。

アベル・ガンスの名作「ナポレオン(1927年)」のラストシーンでも使われています。
ボナパルト将軍そっくりの俳優アルベール・デュードネが岩山の上から眼下の兵士たちに向かって演説をするラストシーンは、カーマイン・コッポラの音楽とあいまってかなりカッコイイので必見です。

この布告によって、フランス軍の兵士達は、熱狂したことになってます。
しかし27歳の若造の言葉一つで、不平不満だらけの荒くれどもが納得したというのも不自然です。
セント・ヘレナでの創作とも言われています。

おそらく最初は半信半疑の目で見られていたボナパルト将軍が、軍に対する適切な指揮命令によって小さな勝利(モンテノッテ・デゴ・モンドヴィの戦い)を積み重ね、軍の信頼を勝ち得ていったというのが事実でしょう。

そのほうが結果を出せる有能な実務家ボナパルト将軍らしくカッコイイと思いますが。

ただ、軍の信頼を勝ち得、勝利によってカリスマ性を獲得した後のボナパルト将軍そして皇帝ナポレオンの言葉の力には絶大なる影響力があったのでしょう。エジプト遠征での布告・アウステルリッツの戦いでの布告がそれです。

その意味で、ボナパルト将軍の出発点は先ず実績ありきの実務家だったのだと思います。