砂漠の狐ロンメル元帥の「指揮官」についての貴重な見解です。
知識が行動に結びついている名将の貴重な見解です。

「1942年6月
自動車化された戦争で私が最初に得た教訓の一つは、作戦のスピードと指揮官の迅速な局面への対応が決めてだということである。部隊は最高のスピードで遅滞なく任務を遂行できなくてはならない。このような情況下では、人は標準で満足してはならず、常に最善に達しようと努め、かつ最善を要求しなければならない。なぜなら最大の努力をする者は常にもっとも速いからであり、そして戦いではもっとも速いものが常に勝つのだ。将校と下士官はこのことを部下達に繰り返して叩き込むべきである。私の考えでは、指揮官の責任は幕僚的な仕事にとどまるものではない。指揮官は部下の指揮にあたって細かいところまで目を配るとともに、たびたび第一線に足を運ぶべきである。それは次の理由による。

(a)指揮官の計画を隊員たちがきちんとやり遂げることがきわめて重要である。すべての部隊長がそれぞれの置かれた情況の持つ意味合いをすべて理解しており、その部隊長の判断で最善の行動をすると考えるのは誤りである。彼等の大半はすぐに安易な方法を取ってしまうものなのだ。そしてあれやこれやができなかった理由を見つけ出すことは本当に簡単なことなのだ。こうした者たちに対しては、指揮官の権威を気づかせることによって、その感覚の鈍さを叩き直す必要がある。指揮官は戦闘の原動力でなければならない。そして部下には指揮官の意に従って判断するようにさせるべきである。

(b)指揮官は、実戦での有益な経験から学び、それを応用するという観点に立って、部隊が最新の戦術上の理論やその運用に心をとどめるよう努め、下級将校がその場の情況に即応できるようにしておかなければならない。内容のある訓練こそが良い部隊を育てる基になるのであり、結果として損害を減らすことに繋がるのだ。

(c)指揮官自身が、第一線の情況と、部下の将校たちが抱えている問題を把握しておくことも重要である。そうすることによってのみ、最新の情況に基づいた判断を下し、実戦の場で応用することができるのだ。そうでなければ、頑なに机上の理論にしがみついて考えがまったく独善的になり、あたかもチェスの勝負をするように戦闘を指揮することになるだろう。したがって、最良の部隊指揮官というのは、情況に応じて柔軟に考えを巡らすことのできる者のことであり、特定の考えを金科玉条としてその物差しで判断するような者のことではないのだ。

(d)指揮官は部下の中に入って行き、彼らとともに感じ、ともに考えてやらなければならないし、兵は指揮官を信頼しなければならない。ここに疑う余地のない基本原則が一つある。それは、決して部下を偽ってはならないということだ。兵は真実と嘘を格別敏感に見分けるものなのだ。」
(「ロンメル語録」ジョン・ピムロット著、岩崎俊夫訳、中央公論新社より引用)

本屋のビジネスコーナーには、「プレジデント」やら「ハーバードビジネスレビュー」などの雑誌が数多く置いてあります。自分も読みます。確かに一定の問題については、これら雑誌に掲載されている諸理論は役に立つと思います。

しかし、指揮命令や組織編成などなどについては、ナポレオンやロンメルの伝記を読んで、実際に小さくてもいいから組織を率いてみるのが一番良いのではないかと思います。実際に「人間」を相手にすると色々なことが起きます。また、それが非常に貴重な勉強となります。