ナポレオンは、セントヘレナでカエサルについて以下のように言及しています。
近代最大の英雄が、古代最大の英雄をどのように分析しているのか興味深いことです。

「カエサルの原理はアレクサンドロス大王やハンニバルのそれと同一であった。
すなわちその兵力を集めておいて、どんな地点でも敵に乗ずる隙を与えず、
重要な地点に急行すること、そして精神的な諸手段、すなわち彼の武器の評判や、
彼の与えていた恐怖や、また政治的な諸手段に訴えて、その同盟国に忠誠を守らせ、
征服した諸民族を服従させておくことであった。」(ナポレオン言行録・岩波書店より引用)

前半の兵力を集中して相対的優位を作り出す戦争のやり方は、ナポレオン自身も実践しています。
「ガリア戦記」をナポレオンも読み込んだのでしょうね。

後半の力による征服地支配のやり方も、ナポレオン自身が実践しています。
しかし、ローマ帝国のような永続的支配確立とはいかなかったようです。
むしろ、ローマ帝国に関する深い洞察をもってよりしたたかに帝国を築き上げたのは、
ナポレオンの敵国イギリスでした。

軍事力天才は、短期的征服には成功しても永続的支配確立には失敗していますね。