北国の僻地
雪国の田舎暮らしでは
長期間の休みともなると
クラスメイトどころか
家族以外の人間すら見かけない
そんな環境での娯楽は
テレビや漫画だった
そこから仕入れた情報を
自分流にアレンジをしながら
真似て遊んでいたあの頃
降り積もる雪を眺めながら
山も畑も道も
何もかもが真っ白な世界で一人きり
ある時は
牛小屋の屋根から垂れ下がる
氷柱とも言えないくらいの
大きな氷の塊をラスボスにして
またある時は
トラクターで除雪された雪山の
大きな塊を仲間として遊んでいた
疲れ果て
寒さを実感しては
不意に我に返り
突然悲しくなった
トボトボと歩いては
山から下りて家の中に入り
薪ストーブに手をかざしては
その温もりに癒やされ
まぁ良いかとホッとした
祖父母の部屋から
テレビの音が漏れ聞こえ
薪ストーブの上の薬缶から
白い湯気がくゆる様を見ながら
また悲しくなった
観たいテレビ番組のない時間に
広い居間に一人きり
薬缶の中から飛び出す蒸気
時々それが薬缶の蓋をカタカタさせて
その音を聞きながら微睡んだ
寒い冬に
眠くなるのは嫌いじゃない
一人の退屈さから逃れる為には
眠ってしまうのが一番
ただその分
夜寝付けなくなるのが困りもの
小学校の教室でも
2年生の二人に気を使われて
ストーブの真横の席に座り
先生が2年生の授業をしている間
その温もりに微睡んでは
先生によく叱られた
先に授業の終わる一年生は
いつも一人で下校した
その道すがらから見える景色も
真っ白けっけ
たまに通り過ぎる車の運転手が
手を振ってくれる
その車の音が
聞こえなくなると
耳の中には何の音も無くなり
目に映る真っ白い世界が
静寂に包まれて
自分一人だけがその場に
取り残された気持ちになる
そこから見えるのは
夜空を真っ白にしたような世界
点在する家々が
星のように散らばっていた