大晦日の休日
日がな一日をどうしようかと考える
普段なら間違いなく
スポーツクラブに行くところだけれど
年末年始休暇で開いていない
そこで近くの温浴施設を検索すると
案外と営業している温浴施設は多くて
その中でもひときわ安いところへ行ってみたら
満員御礼の激混みだった
スーパー銭湯だと
1500円以上はするところ
そこの施設は500円なのだから
混んではいるだろうと予想はしていた
けれどもまさかここまでとは
二十人は入れる
そこそこ広いサウナ室がびっしり埋まり
入り口付近で立ちサウナをする人が
続出している光景を初めて見た
彼等はそこまでして
サウナで整いたいのだろうかと
不思議に思ったくらい
たしかに混んでいるから
座る場所が無ければ一旦出て湯船に浸かり
露天風呂まであるのだから
タイミングをズラせば良いものを
何故に彼らは頑なに立ち待ちするのだろうかと
思いながら自分もその行列に並ぶ始末
そもそも普段行く
スポーツクラブが休みだからと
わざわざそこまで出掛けて来るくらいだから
簡単に諦めなどしない
暇つぶしも兼ねて
片道40分かけて歩いて来たのだからと
そこはどうしても譲れない
しかも入り口に向かって座る
二十人の裸の男達の目の前に立つのだから
なんとなく気恥ずかしい
安心して下さい全裸ですよと
言わぬばかりに仁王立ちしながら
誰がが出て行くのをひたすら待つ間の
何とも言えない緊張感があり
高温のサウナ室内とはいえ
それだけの男集団が集ってしまうのだから
どうしても信じられない男臭が漂い
もはや整うどころでは無いが
どうしてもサウナで汗を流したい衝動を
抑えきれない強者共は私を含めて
そんな匂いなど気にも止めていない様子
やっと席が空いたかと思えば
熱源の真正面だから以上に暑い
しかし座れるだけまだマシだからと
我慢をしようと一歩踏み出した瞬間に
向こうの人が立ち上がり
すぐ後ろに並んでいた人が
これ見よがしにすぐに座ってしまい
何だか損した気分になりながら
極暑なサウナを味わう
そこの施設は露天風呂もあり
その周りに外気浴用の椅子が並び
そこで身体を冷やすのが
これまたいつもと違う趣で気持ちが良い
おそらくどこのスポーツクラブも
年末年始休業だからなのか
前に所属していたスポーツクラブの
人達も来ていたりして
何となく見覚えのある顔が
湯船からいくつか顔を出していた
筋トレはしなくても
サウナや湯船には入りたい
しかも年末年始の退屈を持て余したら
行くところは皆だいたい同じ
何も声を掛ける訳でも無い
知り合いでもないのだから当然だ
けれども何度となく一緒に
サウナで汗をかいたのだから
他の知らない人達よりは
親近感があるとみえて
やっぱり皆考える事は同じなのだと
何となしに微笑ましく思う
なんと言っても安い
他の施設よりも1000円は安いのだから
あれだけの人混みでも
誰も文句は無いのだろう
銭湯というのは
江戸時代にはもう存在していたらしく
その頃から庶民の憩いの場であり
その歴史が今日に至るまで続いており
他の施設が商業化に特化して行く中でも
こういった社会貢献をしている施設が
まだある事がとても嬉しく
あの激込みの湯船やサウナも
江戸時代の庶民も味わっていたのかと
想像しながら湯船に浸かるのも乙なもの
年の終わりに何とも
珍しい体験が出来た事を喜び
来年も何だか良い年となりそうだと
何の根拠も無く信じられるのだから
我ながら幸せ者だと呆れる大晦日