「1泊2日で可能な中山尾根はどうですか。」 「了解です。」・・・と二つ返事で決まりました。
(3日の日に用事もありましたが優先順位は山ということで予定変更となりました。)
久々のテントを担いで行者小屋まで行くのだから、途中で1本アイスも良いかも・・・
ということで南沢小滝を1本ずつ登って、またテント場まで登って来ました。
夜はSMさんが担ぎ上げてくれた食材を使って鍋料理です。
お汁粉と、雑煮などで満腹となり、
あっという間に熟睡状態で7時半から6時までぐっすりでした。
テントの数も少なく少々寂しい感が有りました。
装備を整えて中山乗越へ向かいます。
(中山乗越:赤岳鉱泉と行者小屋の間にある峠です。)
中山乗越に着いて見上げる大同心と小同心の岩頭です。
風も無く穏やかです。
私達は登山道から離れて樹林の中をひたすら登ります。
行者小屋から1時間ほどで今回の中山尾根取付きに到着です。
今回のルートの確認などしながら装備を整えます。
下部岩壁です。
正面にもルートがあるので凹角を登らず正面壁を登りました。
(ルート図は 白山書房 冬期クライミングから)
下部岩壁はⅢ級との難易度とされてあります。
私がリードで登り、終了点に着いて、下に居るSMさんを確保します。
(グレーディング表は白山書房 日本の岩場から)
全ての岩場をこの数字で表すのは困難で参考値です、と本にもあります。
風や降雪、着雪などの条件により違ってきます。
今回は全てに良好な条件でした。
ただ、日に照らされて温まった岩が、周囲の雪を溶かして固定状況が緩くなることも
八ヶ岳などの脆い岩場では考えなくてはなりません。
そんな中、私も順調に登って、相手が登って来るのを待ちます。確保します。
SMさんが私を撮ってくれました。
上の写真は私が1P終了点で確保している時のものです。
登り始めから40m程の場所です。
登って来たSMさんは、そのまま先へ登って行きます。
私はSMさんが次の確保点に着くまで、見えなくなっても確保しています。
私の居る場所から左もルートとしてありますが、SMさんはあえて難易度の高い
右から登って行きました。
(頼もしいです!)
アイゼンと手袋で登りにくいのですが、チャレンジですね!
思わず、ガンバ・・・と応援したくなります。
そして合図が有って今度は同じところを私が登ります。
私もSMさんの後を追って思いっきりとは行きませんが、
小さな岩にアイゼンの爪を引っ掛けてそ~と乗り込みます。
またガリガリやりながら岩角に乗る時はゆっくりと乗ります。
そうやって難所を抜けて、雪と立木と枯草のエリアを登って
安心できる場所で小休止となります。
阿弥陀岳です。
真正面の尾根は阿弥陀岳北稜と言い、
バリエーションの入門ルートです。
入門とはいえ、いつ見ても格好良いですね。
そして上部の岩壁が見えてます。
休憩を終えて岩壁下まで登って行きます。
上部岩壁に到着して見上げて観察(ルートファインディング)を行います。
おおよそルートは岩の弱点を突いたものとなってます。
左へ伸びる岩の溝が初めてここを登った人が引いたルートです。
簡単そうですが・・・
ルート図の通りだと凹角を左上するとのことですので、間違いなくここです。
SMさんは嬉しそうな顔をして上を見ています。
今にも登り出しそうです。
私は後輩へリードを譲って確保としました。
楽しそうです。
気分は最高ですよ!
しかし、この上に今回の核心部が有ります。
覆いかぶさる様な岩を、せり上がらなくてはなりません。
見えませんが、少しの間ロープが止まりました。
ムーブを考えているのでしょう。
そしてループが伸び始めました。
乗り越えたようです。
そして合図のより、私も登ります。
最後の乗越では、上の雪面に雪と草が混じった場所が見え、
そこへバイルのピックを打ち込みます。
OK!これで体を引き上げれば問題なし。
足場を置き換えて、体勢を整えて乗り越えました。
こんな雪と岩との世界では岩角を手で掴むだけでなく、
バイルの先を岩角にカリンと引っ掛けて体重を掛けたりもします。
また岩と岩の間にある氷や草にバイルのピックを打ち込んで
身体を保持したりもします。
一発で決まった時などは気分も最高です!
(バイル:アイスクライミングに使うピッケルで片方が
ハンマーになっているもので、いざとなったら岩の隙間に
ハーケンを打つため、いつもバイルを使用しています。)
登り上げた私はSMさんの所へ向かいます。
あれあれ~、ロープがパスタになってます。
ロープの整理をしましょう。
こうやって交代で登って行きます。
今度は私が先に登る番です。
傾斜の強い雪面にバイルを打ち込んだり、草に打ち込んだり、
そして雪面から掘り出した、
ハイ松の根っこにロープを縛ったりしながらロープを伸ばします。
天気も良く、最高のコンディションです。
どちらかと言えば、太平洋側の気候の影響を受ける内陸の八ヶ岳は、
日本海側の天候の影響を受けやすい谷川岳と比較すると、
冬でも安定した天候が多いのですね。
雪もサラサラです。
しかし寒さは一級品です。
(当日は主稜線上で0度でした。助かりました。)
楽しいなァ~
既に赤岳展望荘と同じ高さまで登って来ています。
もう少しです。
最後の岩は、黄色線の通りに登って来ました。
最後のピークに登り上げることろが、ハーケンやリングボルトで、
少々不安は隠せないような場所でした。
でも、登ったら気分は最高でした。
最後に岩の上に来た時にふと周囲を見回しました。
黄色の矢印部分で休憩をしている皆さんが見えました。
まだまだあそこか~・・・頑張ってますね。
「おーい、ガンバって~!」
私達はすぐ先の安定した場所まで急ぎました。
すぐ下は登山道です。
着いた~!
しかし反面、終わってしまった~。
SMさんが私を確保の準備をしてくれてます。
富士山も見えてます。
登り始めから終了まで4時間掛りました。
登りごたえある登攀ルートです。
SMさんは・・・
「これで正月山行出来ましたね。」
私も・・・「やっぱり、来て良かったよ」。
風を避ける場所で周囲を見渡して、
ひと時の自己満足の世界へ・・・
そして
地蔵尾根を下って我々の正月山行は無事終了となりました。
今回も楽しかった~!
美濃戸口へ登る最後の長い坂、
私が言うところの、
通称「根性坂」は今回もきつかった。
感想・・・
今回は雪が少なく、岩角を手で掴むことが多いと予想されたため、
普段から使用してなかったピッケルバンド(リューシュ)を
急遽バイルに取り付けての登攀となりましたが、
バイルを持ち替える時、バンドが手首に巻いてあると、
いちいち緩めてました。
序盤から邪魔で使わず仕舞で、すぐ取り外しました。
今回の様な時には必要ないと思いました。
写真参照 朝、テント場にて取り付けたバンドです。
ポケットの菓子パン・・・
菓子パンやエネルギーバーをポケットに入れておき、
時ある毎に一口、二口と食べてました。
エネルギー補給にはこの方法も良いですよね。
沢登り、夏山縦走、日帰りハイク、冬の山、雪の山、色んな山のスタイルが有りますが、
どれも大好きです。
山に居ると幸せかもしれませんね。
頑張りま~す。
山って仕事でも遊びでも
いいもんですね~。
気温が高い