2015・8・28~30  雨の涸沢へ | 高橋 丈のブログ

高橋 丈のブログ

山を登るということ、辛い時の方が多いかも知れません。
でも、頂上で交わす握手や笑顔は代えがたいものが有ります。

日帰りハイキング、夏山縦走、雪の山、
色んな山について、ここで紹介したいと思っています。

大糸線は真夏の賑わいは有りません。

松本までの電車の中も登山客は私一人でした。
30分も電車に揺られ、外の景色はまたまだ夏の色。
しかし、松本駅は真夏とは違った空気感で、過ごしやすい気温でした。

バスに乗って上高地入りし、気分も若干高揚してきます。
楽しい涸沢へのトレッキング、今日も頑張って仕事を・・・と自分に言い聞かせます。
他の皆さんもここで腹ごしらえしています。

天候がやはり心配です。
仲間のガイドさんは北穂と奥穂へ登ると言ってました。
苦笑いの陰には、天候の悪化の意味も含まれているのでしょう。


明神岳や梓川は素知らぬ様子です。
私達は元気に約2時間を歩いて徳沢園へ到着しました。

いつもソフトクリームなど食べる程度でしたが、今夜の宿はホテル並みのインテリア。
玄関を入るとお香が焚かれ、広々した玄関口です。

私の想像ですが・・・昔、登山が一般化していない頃、富裕層の方々が泊まった雰囲気が伝わって来るようです。
階段、床、ソーファー、時計などの調度品はそれぞれ雰囲気あるものばかりです。


荷を下ろして外へコーヒーを飲みに出ると・・・
雨足は相変わらずです。

誰も居ないテラスで、明日のことを思うと少々憂鬱に成ってしまいます。
夕食では誕生日を祝う賑やかなグループの皆様が居て、豪華な食事で気分も変わります。


翌日は予想通りの雨模様です。
雨具を着てストレッチをして、水たまりを避けるようにシラビソの林を歩きます。
時折、雨足が弱くなった気もしますが、フードを下げると青変わらずの雨が続いています。


次の目的地の横尾も雨だろうな!


「トイレはあちらの建物です。
小休止は山荘の軒先を借りて休憩しましょう。」

しかし、軒先は僅かで女性のお客様も立ったままの休憩です。
天候を恨んでも仕方ありません。
気を取り直して頑張るか!
自分に言い聞かせます。

横尾大橋で記念撮影をする方も居ませんでした。


「いよいよ、ここから登山道が始まります。
涸沢まで今日は電車の時間を気にすることないですから、ゆっくり歩きましょう。」

幾分雨も少なくなってきた感じです。
左に屏風岩が見えて来ました。
「穂高を代表するクライミングエリアです。
主に東壁と右岩壁に分かれ晴れならクライマーが見えることでしょう。」
少し歩くと2ルンゼから大滝の様に水流が落ちてきています。
上部は雲に隠れて幻想的な雰囲気が感じられます。

「こんなところ、登るんですか!」
「恐ろしいですね!」
皆さんはカメラを向けてカシャリと撮っていました。

そんなことでまた樹林帯を歩くとキイチゴが赤く実を付けてます。

「食べられるのですか?」
「酸っぱいけれど、美味しい!」

「こっちにもありますよ!」
キイチゴを試食されて、笑顔がいっぱいに成っていました。
楽しい秋を感じることが出来て良かったです。

ゆっくりゆっくりと歩いて行きます。

本谷橋まで来たら11時を回っていました。
少々ゆっくる過ぎたかもしれません。
ここで昼食タイムです。

何だか北アルプスの感じが出て来ました。
慣れない木の橋を慎重に歩を見ていると、自分が初めてここへ来た時を思い出すようです。
あの日も雨が降っていて、独りで黙ってひたすら歩いて来た思い出が有ります。

雨も止み幾分過ごしやすく成って来ました。
お弁当を広げて楽しい時間です。

「この川は横尾谷と言います。
今まではこの川の左岸を歩いて来ました。」
「川は下流をみて右を右岸、左を左岸と呼びます。」
「これからは右岸を登ります。」
「この橋は本谷橋といいます。現在地はこの橋ですね。」

「地図を見るとこの先で沢が二股に分かれています。
次は沢の二股を目指して登りましょう。」

急なジグザグを登り樹林の中にブルーベリーを発見!
皆さんに1つ二つ取って差し上げて試食!

アチコチにありました。またキイチゴもなっています。


あそこに白く沢が見えますが、あの辺で涸沢と合流しています。
此処が二股ですから、今自分達はこの辺ですね。
「なるほど~!」


そして樹林を抜けたガレでは・・・
咲き終わったチングルマや僅かに残ったヨツバシオガマ、サラシナショウマなどまだまだ頑張って咲いていました。

向こうを見ると、小さく小屋も見えています。

「見えていても、ここからが遠いのです。」

沢は音をたてて流れています。
水流に手を入れて水を感じて・・・


いや~
岩壁を見て泊まってカシャリ。
キイチゴをみて一つまみ。
花を見てカシャリ。
ブルーベリーを見て一つまみ。
まさにのんびりトレッキングです。
周辺は雲に隠れて何も見えませんが・・・

今回のタイトルは「涸沢トレッキング」
ピークハントなしのトレッキングも楽しいものです。


朝8時に徳沢園を出て午後二時涸沢到着です。
コースタイムなんて関係ありません。
コースタイムを2時間ほどオーバーして涸沢へ登って来ました。

これぞトレッキング。
いいもんですね。

談話室では地図を広げて今回のコースを再確認。
「今自分がどの辺に居るのか。」
地図をじっと見ていると目標物がいろいろあります。
屏風岩、本谷橋、二股、ガレ・・・
そんなことも面白いことですね。

今回は雨で人通りも少ないため、立ち止まって色んなものを観察しながら登ることが出来ました。

雨の涸沢トレッキング・・・思い出の山旅となりました。


翌日も上高地まで雨の中でした。

奮発してコーヒーを頂いて、大変美味しかったです。


やった~

下山の本谷橋でなぜか、記念撮影の様になってカシャリと1枚撮りました。