税理士試験における税法大学院について
その2では入学後について書きます。
↓ちなみにその1はこちらです。
税法大学院1年目
ちなみに私が通ったのは夜間制でしたが、
同じ夜間でも大学によって多少違うこと、
ゼミの教授によっても違うことを前提で
読んでください。
まず、大学院でも単位制になっています。
授業を選択して必要単位数を取得する必要があり、いくつか必須科目があります。
2年生は論文を仕上げるの負担が大きいと
言われているので9割以上の人は1年生で
単位を揃えます。
それも入学してすぐの勢いがある前期で
揃えようとします。
会計事務所の人は年末から忙しくなるので、
あまり後期に残したくないですよね。
5月も決算が多くて忙しい人が多いのですが、
入学してすぐの時期なので周りに溶け込んだり
情報収集などもした方がいいと考えるので
大半の人はスタートダッシュします。
↓私の前期前半の過酷なスタートです
ただ、講義によって単位取得のハードルの
高い低いがあるので、早いうちに先輩などと
親しくなって情報収集をした方が効率良く
単位取得は出来るはずです。
私は税理士試験と平行していたので
(同級生では私だけでした)
前期後半(6、7月)の勉強時間を確保するため、
後期前半(9、10月)にも少し授業を分散しました。
単位の認定方法は様々です。
私が通ったところは幸いにも試験形式はなく
出席、課題、発表のどれかの組み合わせでした。
それでも仕事後の時間を使うので、
課題や出席を重視すると仕事に遅れや支障が
出ますし、仕事を優先すると単位取得や
論文作成に影響が出て、2年で卒業できない
ことも起こりえます。
(同級生でも実際に居ました。留年すると
同級生が居なくなり、学費も余分にかかります)
その負担に加え、私の場合は税理士試験の勉強
しかも直前答練時期と重なったので、
そのストレスはすごいはずなのですが、
大学院は志を同じくする、そして税理士試験という
同じ苦しみを経験した人だけで構成された
集まりなので、むしろ安息の場になっていました。
税理士試験では仲間でありながら
ライバルでもあるのですが、
大学院では単位も卒業も、そして論文審査も
絶対評価なので、ライバルという要素が全くない
本当に同志なのです。
職場でもどこでも税理士試験のつらさを
わかる人がいない環境だったので、
私にとっては居心地の良さしか
ありませんでした。
参考までに、年齢層は30代半ば過ぎの人が
一番多かった印象です。
試験勉強10年前後頑張ったけど、
このまま5科目を目指すと
40才を超えてしまい、開業を考えたり
家庭環境を考えるとそこまで引っ張れない
と感じる限界と感じる人が多い年頃なのでは
ないかと思います。
それも私には心地よかったのです。
お客さんも職場の同僚もほとんどが年上ばかりで
IT面などでは会話のギャップが激しいと
感じることが多かったのですが、30代の
大学院メンバーはそういう価値観も
ほとんど同じでした。
ノートパソコンを持ち歩いて移動中も
メールをして仕事が出来る、ファイルも紙ではなく
電子化して持ち歩く、LINEグループで
情報を共有する、などが当たり前に出来ました。
本題に戻ります。
大学院は、基本的に大学もそうですが1月で
カリキュラムは終わり、2、3月は春休みです。
これは会計事務所の人にとっては
めちゃくちゃありがたいことですよね。
確定申告時期に夜も学校があったら
生活が破綻します。
そういう意味で、ここでは相性が良いです。
逆に前期後半の課題提出時期と、
税理士試験の直前期が重なるのですが
これは前述のように講義の選択を調整することで
なんとかなります。
余談ですが、私の1年のときはギリギリコロナ前
だったので飲食の付き合いも活発で本当に
楽しかったです。
税法大学院2年目
2年目ですが、私の場合はコロナの最初の
緊急事態宣言中に始まりましたので、
オンラインになっていました。
図書館も閉鎖されてしまっており
文献集めも難航しました。
一般的な話に戻しますと
1年目で単位を揃えてしまっている人が
ほとんどなので、2年目はゼミでの論文指導、
そのために図書館などで資料を集めて作成し、
発表し、作り直したりといったことを
ひたすら進めていきます。
論文の量としては50~60ページくらい
の人が多いです。
引用文献も最低50冊くらいだと思います。
私は72ページ83317字(原稿用紙209枚分)
引用文献69冊、読んだ文献は130冊でした。
節目をざっくり言うと、
10月頃が中間発表なのでこの頃に最低半分は
書けていないといけません。
そして年末でほぼ書き上がってるくらいを
求められ、最終修正をして
1月が論文の提出期限になります。
2月に発表の場があり、それで3月に認定、
卒業となります。
既に税法科目に受かっている人は
教授のサインと共に免除申請書類と
論文、成績証明書、卒業証明書などを
国税審議会に送ることが出来ます。
免除までの期間は早いときで3ヶ月(6月頃)、
コロナの影響が強かったときは11ヶ月(2月頃)
という人も居たようです。
私の同期は8月と11月でした。
5ヶ月と8ヶ月ですね。
私は合格発表直後に速達で出したら
最速の2月でした。
ちなみに免除申請が終わっても
税理士登録の書類を揃えるのにも
1ヶ月弱はかかるので、私は待っている間にも
準備していました。
そして税理士会に受理されて3週間くらいで
面接があり、登録されるのにそこから
1ヶ月半くらいはかかります。
一般的には2年目の論文作成の方が
しんどいと言われますが、私は書くことは
どちらかというと好きですし、文献を読むこと
それらから集めた情報をまとめたり
論理的に並べたりするのも嫌いではなかったこと
そしてタイピングにも自信があったので
(税理士試験のような理論の手書きの方が
苦痛でした。書くより打つ方が絶対に速いので
タイピングにも対応してほしいとずっと
思ってました。)
どちらかというと2年生の方が快適でした。
講義もゼミのみで週1回しかなかった上に コロナ禍1年目なので、飲み会などもほとんどなく
あまり記憶に残ることがない1年でした。
その分、卒業後も免除通知のことや登録など
お互いの状況報告をしあったり、私の受験の合否を
気にしてもらったり税理士登録後に再会したりなど
ずっと関係は続いてます。
いい仲間と出会える場となったことが
時間とお金以上に得られた財産だと思います。
おそらくですが、入学の倍率もさらに上がる
と思われますし、なかなか入るのも大変ですが
税法2科目を頑張るのとはまた違った
(個人的な偏見ではそれ以上の)価値があると
思っています。
皆さんも興味があれば一度調べて見てください。