WBC・S・バンタム級2位、IBF4位の和氣慎吾(FLARE山上)選手が10月11日、後楽園ホールで行われたフェザー級8回戦でジュンリエル・ラモナル(比)に3回2分59秒TKO負けで、まさかの大番狂わせとなってしまった…。
和氣選手とラモナルは6年前の13年10月に対戦し、当時OPBF王者だった和氣選手がラモナルを3回TKOで下して防衛に成功していた。
これが6年ぶりの再戦で、試合を優位に進めていたのは和氣選手の方だったが、3ラウンドにラモナルの左フックで和氣選手がダウン。形勢が一気に逆転。
和氣選手がこの回をしのごうとしたがダメージは深く、このラウンド終了間際、再びラモナルの左フックがクリーンヒットすると和氣選手はリングに顔から崩れ落ち、ノーカウントでストップとなった。
和氣選手は3年前の16年7月にIBF王座をジョナサン・グスマンと争い、強力な圧力とものすごいパンチ力で襲いかかるグスマンの前に4度のダウンを奪われ、その度に立ち上がったが顔面が大きく腫れてダメージが溜まりレフェリーに11ラウンドで試合を止められ敗れた。
試合は一方的だったが和氣選手に不運もあった。2ラウンドに偶然のバッティングで大きなダメージと傷を負った。最終的に顔が大きく腫れ上がったのはこのバッティングが原因だ。
5ラウンドには終了のゴング後に左フックをもらいダウン(レフェリーの裁定はゴングと同時のパンチで有効なダウン)。
この序盤の大きなダメージでこの試合はほぼ決まったと言っていい。
後に天笠選手とのガッツファイティングでの対談でグスマン戦のゴング後のパンチについて聞かれた事があった。
その時和氣選手はバッティングとゴング後のパンチ、和氣選手に不運とも言えるレフェリングに一切言い訳することなくこう言った。
「それが強さですからね」「失格負けにならなければ何をしても勝ちは勝ちですから」
さも当然のようにさらっと言ったのである。
それは建前でもカッコつけでもなく和氣選手の本音だったと思う。(対談動画を見れば分かって頂けると思う)
この対談を聞いて自分の和氣選手の印象は大きく変わった。
自分は和氣選手に対して派手な見た目とスタイリッシュなボクシングスタイルから少しチャラチャラした印象を勝手ながら持っていたのだ(和氣選手ごめんなさい…)。
しかしこの対談を見て和氣選手のプロ意識の高さとボクシングに対する真摯な姿勢を知り必ずもう一度這い上がって欲しいと思ったのだ。
URL: youtu.be
ジムの移籍と復活への道のり
グスマン戦の肉体的、精神的ダメージから復活するのは相当大変な道のりだと感じた。
そして和氣選手がジムを移籍するとの噂が。
ジムを移籍すると聞くとどうしてもネガティブな印象を受けてしまう。
和氣選手は大丈夫だろうか?はたしてグスマン戦の前の状態まで戻って来れるのだろうか?
移籍先のジムはFLARE山上ジムに決まった。
山上ジムがリニューアルして新しくなったジムだが未知数のジムである。
トレーナーはフィリピン人のレイ・オライスに決まった。
ファンとしてはこの新しいジムとトレーナーに和氣選手の復活を託すしかない。
再起戦はグスマン戦から1年後に決まった。
相手はベテランの瀬藤選手。試合は無事5ラウンドTKOで再起に成功した。
試合後のインタビューでリングに帰って来れた喜びと試合が終わった安堵感からか和氣選手は泣いていた。
新しいジムの環境とトレーナーのレイ・オライスとのコンビも良く充実したトレーニングが行えているようだ。
その後タイの選手と2試合、フィリピンの選手と1試合を行い、その3試合にTKO勝ちしグスマン戦後4試合連続TKO勝ちとなった。
しかし世界に再挑戦となるとインパクトのある相手に勝ってアピールする必要がある。何しろ日本のSバンタム級は世界挑戦を期待される実力者が揃っている。
衝撃のカード発表
そんな中で衝撃の対戦カードが発表された。
日本王者の久我勇作(ワタナベ)との日本タイトルマッチだ。
この試合は国内Sバンタム級の頂上決戦であり、勝った方が世界へと言う1戦。
国内のSバンタム級には和氣・久我そして元世界王者の岩佐・小國・久保・亀田和毅など強豪揃いだ。
しかしこの久我対和氣の勝者が世界挑戦する事に納得しないファンはいないだろう。
何しろ久我選手は最も勢いのある日本チャンピオンと言っていい。
前の試合の防衛戦では小坂選手を1ラウンドで倒し圧勝している。この試合は後楽園ホールで現地観戦し、久我選手の圧力とパンチ力に度肝を抜かれた。
久我対和氣が発表された時に思ったのは久我選手が有利だろう。
和氣選手と言えども久我選手のプレッシャー、パンチ力を交わし続けるの不可能だろう。10ラウンドのどこかでつかまるのではないかと思った。
とにかくこの一戦を見届けるためにチケットを購入した。
当日の後楽園ホールは超満員でメインが始まる前には異様な緊張感に包まれていた。
そして試合が始まる。
試合は予想通り久我選手がプレッシャーを掛けていく展開。
和氣選手は良く動きながら久我選手のパンチを外しストレートを返していく。和氣選手の動きが非常に良くペースを握って行く。
そして2ラウンド、和氣選手が久我選手のパンチを外した瞬間強烈な左ストレートを打ち込み久我選手がダウン。
その後も和氣選手が久我選手のプレッシャーをさばきながらパンチを入れ試合をコントロール。
途中バッティングで和氣選手が眉間を大きくカットするが集中力を切らす事なくペースを渡さない。
そして最終ラウンド久我選手も諦めずに前に出るが、和氣選手が左ストレートを当て連打でまとめるとワタナベ陣営からタオルが投入された。
強い、強すぎる。和氣選手の集中力、スタミナ、ディフェンスそして切れのあるパンチ。
和氣慎吾完全復活と言っていい内容だった。
決まらない世界挑戦
久我選手との頂上決戦に勝利し和氣選手に残されたのは世界挑戦のみ。
このままの勢いで世界を獲ってほしい。
しかし世界挑戦は中々決まらない。和氣陣営も必死に世界挑戦の交渉を行っているようだがこれがマッチメークの難しさなのだろうか…。
世界挑戦が決まらないまま和氣選手は再び世界前哨戦を行う。
中嶋選手相手に6ラウンドTKO勝ち。
しかしまだ世界挑戦は決まらず、迎えた2度目の世界前哨戦がこのラモナル戦だった。
勝負の世界にタラレバはない。
しかしどうしても思ってしまう。
久我戦の後に世界挑戦が決まっていたら…と。
久我戦後に世界挑戦が決まらずにモチベーションを保つのが難しかったのかもしれない。
あるいは一度勝っている相手との対戦で油断があったのかもしれない。
ラモナル戦の後に海外で世界挑戦などと言う噂も聞こえていた。
しかし和氣選手が敗れた事実はもう変わらない。これがボクシングの怖さだ。
今後の和氣選手がどうなるか分からない。
再び再起するのは険しい道のりだろう。
しかし和氣選手には諦めてほしくない。
久我戦で見せたボクシングが出来れば必ず世界を獲れると信じている!
頑張れ和氣慎吾!
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