いわゆるFWのいない「0トップ」というものだと報道された。
そもそも0トップとはどういう布陣なのか?
0トップといえば最近ではローマが有名でしたが、トッティという大黒柱を最大限押し上げて戦う戦法です。
0トップとは、ストライカーである選手を置かず、もともともう少し下がり目の選手、攻撃的でキープ力があり司令塔の役目もできる選手を一番先頭に配置して、攻撃の全てを委ねるといっていい布陣です。
ローマはもともと中田英寿がいた時代から「ローマの王子」としてトッティがいましたから、まさにクラブをあげてトッティのチームとして攻撃を考えたといったところです。
この布陣はサイドに得点力が高いウィングタイプが入り、トップ下は0トップをフォローします。
中盤の底に位置するプレーヤーは守備は勿論、2列目を追い越す突破力や、サイド・トップへ散らす長短のパス能力といったものが必要になるでしょう。
そしてそれらの選手が流動的に動くことで、相手に攻撃の起点・流れを掴ませず、試合を制圧して勝利するのです。
この0トップは実は日本にも馴染みがある布陣です。
それは、ワールドカップ2010南アフリカでの我らがサムライブルーの本田圭祐です。
そう、あれぞまさに“0トップ”といっていいでしょう。
結果はご存じのとおり、当時大会前、奈落の底にいる日本は不死鳥のようにこれで甦り予選を突破、みごとベスト16に進出しました。
攻撃をむやみやたらと、全員で“意味なくイケイケ状態”だった日本に、しっかりとした、しかも各ポジションに明瞭な役割がついたことが、あの大会前のグダグダ感を一掃したと思います。
しかし、ここで少し疑問が残ります。
0トップで許されることの一つに、最前線の0トップ選手に攻撃の方向性が委ねられると同時に、多少の守備は免除となることです。
ローマでは、ほとんど前線にトッティは居続けていたと思いますが、それ以外の選手はしっかり下がり、トッティへパスを出すべく鉄壁の守備を誇りました。
日本の場合、本田は守備も頑張りましたが、もともとカメルーン・オランダ・デンマークの攻撃力に対応すべく敷いた、カウンターシステムとしての布陣の色が濃かったと思います。
そう、0トップとは、カウンターありきで考える方が楽なシステムであるはずなのです。
ではスペインはどうでしょう?
当然ここまで考えるとなにも0トップとして攻撃力・展開力に秀でて、守備も素晴らしいセスクを0トップに使うこともなければ、もともと0トップにすることもないのです。
結果、初戦からのスペインは横パスが目立ち、イニエスタやシャビのスルーパスに飛び込む選手も少なく、流動的な動きも序盤は少しぎこちなかった様に思います。
(もちろんハマッた時は素晴らしいゴールでしたが。)
あまりに素晴らしいダイレクト・パスの連続に見とれて気付き辛かっただけのように思えます。
最後はセスク自体が、今回のチームでのトップのあり方に慣れてきて素晴らしい決勝戦になりました。
一度ネグレドに準決勝でチャンスを与えたが、こちらはあまりインパクトのあるものではなかった。
原因のほとんどは、ダヴィド・ビジャの負傷欠場が影響しているのは戦前から明らかなことであったが、チェルシーでのトーレスのあまりの点獲らなさ過ぎが、ヴィセンテ・デルボスケ監督の苦渋の選択に繋がったことは間違いありません。
そう、結局0トップという本来のシステムの在り方ではなく、引いた相手には圧倒的なボールポゼッションを最大限に活かすためにセスクを使いながら、トーレスを途中出場から使うことで、試合をクロージングさせる役割に持ってきたということでしょう。
勝ちを確信させる試合(果敢にラインを上げて掛かってくるチームや、格下と決めつけたようなチーム)以外に、彼を先発させる決断が出来なかった。
準決勝でネグレドを選択したのは、相手のことを研究したからこその選択だけだったのか?(なぜトーレスではなかったか?というかジョレンテはどこいった?(笑))
全面的にトーレスをトップに使った戦いに挑む決断は、デルボスケには今回出来なかった。
(しなくてもいいのかもしれないが。)
これには個人の好不調と併せて、激しいリーグ戦・カップ戦のシーズンを終えた選手達に、コンディションを整え、新たにクラブとは違う戦術・布陣をトレーニングする時間的余裕がないという問題があります。
これはこの時期に開催されるW杯しかり代表戦の質の低下に、拍車をかける要因となっているでしょう。
代表の大会はそのうち、「国の為の勝利」ということに割り切ったチームが増え、新たな戦術や布陣が現れにくい、とても単調で感情むき出しの試合ばかりになるでしょう。
98年オランダでのヒディングの戦術・布陣は鮮烈でした。
時を同じくしたブラジルのロベルト・カルロス、カフーを常に上げた「2バック」は勇ましかった。
もう新たなものは代表、こと強国といわれる国からは生まれにくいんじゃないかなと思います。
脱線しましたが、今回優勝したスペインの序盤からのぎこちなさ(ヨーロッパではそれなりにヤジられたようですが)を観る限り、苦渋の選択ではあり結果は出しましたが、やはりトーレスを信じて1トップで先発させる試合をメインの布陣で選択した方が、正解だったんじゃないかと思います。
そんなトーレスが3ゴールで並んだ中で、出場時間が短い者だからと得点王になったことは、これ以上ない皮肉にしか蒼月には思えませんでした。
次は2014年のワールドカップ・ブラジル大会。
どのようなメンバーによる、どんな戦術・布陣でスペインは挑むのでしょうか。
今の代表の大会の傾向を考える限り、スペインの戦力維持がなされれば、W杯・EURO“禁断”のW連覇も可能性は高いといえるかもしれません。
優勝しなければ“王国としての存在意義が消える”であろうブラジルにはとても高く、重い十字架です。
2年後、そんな史上最大の対決「王国ブラジルvs王国スペイン」を夢見ながら、今回のEURO2012に自分なりに幕を下ろしたいと思います。
P.S.
ベルカンプさんありがとうございました、予想大会参加のみなさんお疲れ様でした。
予想表見るの楽しかったです。
-ちょっと長いですがこの動画クリップは秀作ですよ-







