丘の上から田んぼの間を抜け
ふもとの町に下る坂道は
見た目以上に急な坂道だった様だ
涼太がカーブの手前で
ブレーキを強く握りしめた時には
もう曲がり切れないスピードだった
、、はずだった
用水路の横の農道を走りながら
涼太はさっき、なぜあの急な曲がり角を
ろくに減速もせずに曲がれたのか
分からなかった
心臓が口から飛び出しそうなくらい
拍動している
さっきまでは
自転車に乗っているつもりだった
それが今は
乗せられているだけなのかも知れないと
思い始めていた
涼太はその動きから何かを感じ取れないかと
ペダルを漕ぐ足に神経を集中してみる
だが黒い自転車のクロは
ただシャリシャリと軽快に走るだけだった
やがてクロは農道を駆けて町を抜け
隣町に向かって真っ直ぐ進んで行った
涼太は進む方角をクロに任せる様に
ただひたすらにペダルを漕ぎ続けた

