真新しいランドセルの子達が
町を歩き始める季節
僕は、地元に支店のある
建設会社で働き始めた
かつて仕事を放り出して
ひどく迷惑をかけた筈の上司が
得意先一軒一軒に当たって
図面をひける人材は要らないか
聞いて回ってくれて
採用になったのだった
「 迷惑?こんなもんじゃもの足りんな 」
上司の言葉に胸が詰まった
それから
下肢のリハビリも
クリニックの僕と同年代の
理学療法士の言葉を信じて
黙々と続けた
直ぐには何も変わらないけれど
その後千帆は
“元気?” とか
“あったかくなってきたね!” とか
時々ショートメールを送って来るけれど
彼女には彼女の思うところがあるのか
日常の簡単なやりとりだけで
それ以上は干渉せずに
僕をそっと見守って置いてくれた
やがてそんな生活にも慣れ
夏が過ぎ
また少し冷たい
風が吹き始める頃
千帆から
一通のショートメールが
“ コスモスが咲いたよ 来られたし ”
続く、、、