こんにちは。

 

読み聞かせでは、4年生のクラスで「ゼラルダと人食い鬼」を読んできました。

 

 

作者のトミー・ウンゲラー、一風変わった絵本が多いです。

ブラックユーモアを感じるものも多いし、「悪意」や「悪人」といったものがわりとオブラートに包まれず描いてあります。そして、なぜそんな行為をするのか?犯した罪は裁かれるのか?ということはあまり描かれず、ようは世間には悪人も善人も存在するし、運が良い時も悪い時もある。その中で奇妙なストーリーが展開してゆき、そのまま、終わる。この雑然とした感じや説明のなさが、いいんですよね。投げっぱなしの世界観、とでもいいますか。

でも、現実ってけっこうそういうものじゃないですか?多分私がトミーウンゲラーを面白く感じるのはここなんです。誰も世界の不条理の説明なんてしてくれないし、そもそも説明もできません。それから周りにいるのは自分と違う価値観の人だらけですよね。でも、その中で自分は自分として生きているし、社会も一応成り立っている。

そんな気持ちで楽しんでいる自覚があったので、いや…トミーウンゲラーの本は、世間ズレしている大人にとってのみ面白いのか?と、一時期図書館でトミーウンゲラーの本を色々借りて子供に読んだんですけど、意外に子供も面白がって聞いてくれるんですよね。スゴイ。トミー・ウンゲラーもスゴイし子供もスゴイと思いました。

(蛇足ですが、作者的には悪人の心の奥や人間存在の根底に「何か(理由のようなもの)」が「無い」ということではなく、「その追求は他に任せてます…」、もしくは、「君ら(読者として想定されている子供たち)が大きくなったときに自分で考えて…」、「頑張って…」という感じではないかと勝手に思います)

 

うちの子供達は私のチョイスの絵本をよく読んでいるので、こういうチョット馴染みがないような本もスッと受け入れてくれるところはあるんですが、学校の子供達はどうかな?正直よく分かりませんでした。(いつもどんな本を読んでいるのかすごく知りたい)

非常によい子達で静かにみんな耳を傾けてくれましたが、この本の面白さが伝わったかというと…?ストーリーは伝わったが、上っ面をなぞった撫で切り感…を感じました。

私の力不足です。きっと物語の世界に入る「前説」が重要なんだとこの頃感じています。

 

「今日はゼラルダと人食い鬼という本を読みます。この本はもともと英語で書かれた本なんですが、『人食い鬼』というのは英語で『オーガ』です。『オーガ』というのは本やゲームによく出てきますので、知っている人もいるかもしれませんが、ヨーロッパに昔いたと言われる怪物のことです。ですから、このお話はヨーロッパの昔話として聞いてみてください。オーガは、大きくて、乱暴で、食いしん坊で、チョットおっちょこちょいな怪物だといわれていますが、この本に出てくるオーガはどんな怪物なんでしょうか?それでは始めます。」

みたいなふうに今回は導入してみたのですが……(結構考えましたよ?)

 

オーガにピンとこない子には右から左に抜けるような説明だったかもしれない…

それとも、私が早口で語り口が良くなかったか…(いつも時間を気にしてしまう)

 

こういうブログでなら散々好きな本や作家のことを語れるのですが、その良さを人に伝えるということはなかなか難しいものです。

 

次回も頑張りたいと思います。