仲代達矢さん主演の無名塾公演「左の腕」を能登演劇堂にて拝見しました。 



圧巻でした。
役者人生70周年記念作品なのですが、「生ける伝説」としての実績に決して胡座をかくことなく新たな役にチャレンジする精神にはひたすら畏敬するのみです。

今回は松本清張原作の時代劇で前進座の劇が元になっています。世話物の軽妙さと前進座の重々しさを当意即妙の演技で表現する仲代さんが抜群でした。

加えて、殺陣の殺気とシルエットの美しさ、「緊張と緩和」を巧みに使いながら観客に自然と笑いをもたらす呼吸、そして最後の決めゼリフの決まりぶり。

何もかもが最高で、90歳を間近にしてまた新境地を拓いたかに見えました。あまりに余韻が心地よく、能登の夕景を眺めながらぼんやり浸っていました。
世界に誇る名優の現在進行形の闘い、是非ともその目に焼きつけてくださいませ。