金澤幸雄です。

 

2022年2月に始まったロシアによるウクライナに対する軍事侵攻は、この原稿を書いている今も続いています。

ウクライナ各地では、ロシア軍とウクライナ軍が激しい戦闘を続けており、子どもを含む大勢のウクライナ市民が国外へ避難していますが、多くの犠牲者も出ています。

 

国連UNHCR協会のサイトを見てみると、2022年6月現在でウクライナの人口約4400万人のうち、およそ4分の1にあたる1400万人がウクライナ国内で避難できずに取り残されて現地にとどまっており、800万人以上がウクライナ国内で避難生活を余儀なくされ、690万人以上がウクライナを出てポーランドやハンガリーなどの近隣諸国へ避難を強いられたと推定されています。

実にウクライナ国民の65%以上が住まいを追われ、国内の比較的落ち着いた場所か国外へ避難しなければならないという危機的状況に陥っているのです。

 

日本政府は、「ロシア軍によるウクライナでの多数の無辜(むこ)の民間人の殺害は重大な国際人道法違反であり、戦争犯罪です」と断じ、「日本はウクライナと共にあります- JAPAN STANDS WITH UKRAINE-」と題した声明を発表しました。

その中では、6億ドル(2022年5月時点)の財政支援の決定をはじめとする、ウクライナ国民への金銭、物資などの支援、ウクライナから日本への避難民の受入れの推進、IMFなどの主要な多国間金融機関からのロシアへの融資の防止、WTO協定の基本原則のひとつである「最恵国待遇」の撤回などの貿易措置、ロシアの関係者へのビザ発給の停止などの措置をとるとあります。

 

では、北朝鮮問題など安全保障上の課題を抱える日本国民である私たちは、ウクライナの人々に何ができるでしょうか。

寄付金を集めている色々な団体を見てみると、集めた支援が果たして何に使われるか、明示されていないものもあります。せっかくの寄付金が、武器の購入資金になるなど軍事支援に回るかもしれないということに「寄付することによって戦争へ加担しているのではないか」といった感情が生まれるのも、ごく自然な流れでしょう。

 

しかし、戦争を賛助することになるとして、すべての寄付を否定するのは考えものです。支援団体の中には、人道支援や医療支援に限定して活動しているものも多くあります。さまざまな意見、信頼できる情報、それらを自分でできる限り集めたうえで、自分なりの行動を起こすべきだと私は考えます。

 

こうしている今も、犠牲者は増え続けており、自分の命を守るために必死で戦っている人々がいます。苦しむ人々にどんな寄り添い方ができるか、ひとりひとりが動く時が来ています。

 

 

金澤幸雄

 

Photo by Li Yang on Unsplash