きのうに引き続き原発の話題です。

最近、思想家の東浩紀によって提唱された
福島第一原発観光地化計画
をご紹介。

かなり過激なネーミングなので最初は「けしからん!」となるかもしれませんが、
計画の裏の深い洞察を聞くと、「なんて素晴らしいアイデアなんだ!」という風に
僕自身は意見が変わりました。

簡単に言うと、
・1986年に人類最初の原発事故を起こしたチェルノブイリは、現在観光地となっている。
・チェルノブイリ原発ツアーなど、防護服なしで現場近くまで行って写真撮影など可能。
・人は、悲劇が起きた場所に行ってみたい、という性を持っている。
・福島原発に関しても、それが「けしからん」かはともかく、必ず行ってみたいという人が出てくる。
・その時に、原発建屋も何もない更地になっていたとしたら、我々日本人は原発事故を起こした当事者として余りに無責任ではないか。
・広島の原爆ドームだって、当時ドームを残す事に反対する人が多くいた。
・しかし、もはや原爆ドームを残した事に反対する者はほとんどいない。
・むしろ世界に向けた平和の発信地として機能し、世界遺産にもなっている。
・観光地化計画というのは、人々が福島原発に訪れるようになった時に、我々日本人が原発事故をどのように捉えているか、それをどのように世界に発信するかを問う哲学的問題
というような感じです。
もちろん、一人の若い思想家とそれらに賛同する建築家や社会学者などが
勝手に提唱しているものなので、世間的には認知度も低く、あまり評価もされていません。

ただ、僕はこの計画には賛成しています。
アウシュビッツ収容所博物館の館長が社会科見学に訪れたドイツ人の小学生に
言ったという言葉を思い出します。

「君たちにこの悲劇の責任はないかもしれない。
だけど、君たちにはこの悲劇を繰り返してはいけないという責任がある。」

日本が原発推進をしてきた時代に投票権もなかった僕の世代に、
福島事故の責任はないかもしれません。

だけれども、この人災を二度と起こしてはいけないという責任は僕らの世代にあります。
また、日本人として、この事故をしっかりと物語化し世界に発信していく責任も
同時に負っていると僕は思います。

事故から二年近くが経ち、また政権交代後の景気回復によって
原発やエネルギー問題の話題が少なくなってきているように思います。

そんな時だからこそ、この観光地化計画を機に改めて、あの事故を物語化する
哲学的な問い、冷静な議論が行われるべきだと思います。


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