最近、気になって小さな森の家って名前の店。
「ねえ、あそこに新しいケーキ屋できたのかな?」
通りを歩いていて、ふと目に入った看板。
そこに書いてあったのは――
『小さな森の家』
「……絶対、ケーキ屋でしょ」
「もしくは焼き菓子専門店」
「いや、森って言ってるし、カフェかも?」
頭の中ではもう、
木のドア、白い壁、
ショーケースに並ぶショートケーキとモンブラン。
「クッキー缶も売ってそう」
「午後には売り切れそう」
「インスタ映えしそう」
――完全に、そういう世界観。
でも。
気になってスマホで調べてみた。
「……え?」
「ちょっと待って」
「……葬儀場?」
家族葬式場 小さな森の家
「ケーキ屋じゃなかった」
「甘い匂いもしない」
「静かに見送る場所だった」
正直に言う。
「これは、勘違いする」
だって、
・小さな
・森
・家
この三点セット、
どう考えてもパティスリーの名前じゃない?
でも、少し考えてみた。
「きっと、わざとなんだろうな」
“葬儀場”って聞くだけで、
人は身構えてしまう。
だからこそ、
「森の中の小さな家みたいに、静かで、あたたかい場所」
そんなイメージを、名前に込めたんだと思う。
「ケーキ屋だと思って近づいた人」
「オイラだけじゃないはず」
でも、
「名前にやさしさがありすぎる葬儀場」
それはそれで、悪くない。
人生の最後に、
“大きなホール”じゃなくて
“小さな森の家”で見送られるなら――
ちょっと、静かで、ちょっと、あたたかい気がした。
結論。
ケーキは売っていない。
甘いのは、名前だけ。
でも、
その名前に救われる人は、
きっといる。