日本における生成AIの利用目的の調査結果


複数の日本の調査機関(日本リサーチセンター、MM総研など)が2024年〜2025年にかけて実施した調査結果を統合すると、人々の利用目的には明確な傾向が出ています。

最大の利用目的は「情報収集と要約」で、AIを従来の検索エンジンの進化版として使う人々が半数を超えています。次いで「アイデア出し」や「文章作成」といったクリエイティブな補助作業が続きます。

生成AIの主な利用目的ランキング(日本国内・2025年)

最も具体的なデータの一つとして、日本リサーチセンター(NRC)が2025年6月に発表した調査結果(※)から、AI利用経験者の利用目的をランキング形式でご紹介します。

1位

利用目的

 情報収集、調べもの、検索内容の要約 

割合

 55.5% 


2位

利用目的

 アイデア出し(趣味、創作、日常の発想など) 

割合

 32.8% 


3位

利用目的

 メールや文書の作成

割合

 24.0%


4位

利用目的

 対話型AIとの会話(チャット) 

割合

 23.6%

5位

利用目的

 翻訳・通訳

割合

 22.6%

(出典:日本リサーチセンター(NRC) 2025年6月調査データより作成。利用経験者への複数回答可の質問のため、合計は100%になりません。)


といったデータが表示されました。


  AIの主な使途は「時短(効率化)」

   1位の「情報収集・要約」が圧倒的です。これは、従来の検索では複数のサイトを見て自分でまとめていた作業を、AIに一括で要約させて時間を短縮する「タイパ(タイムパフォーマンス)」を重視した使い方です。

   「ゼロから1」を生み出すサポート役

   2位の「アイデア出し」、3位の「文書作成」は、クリエイティブな作業の第一歩としてAIが使われていることを示しています。

  • ブログのタイトル案を10個出してもらう
  • メールの丁寧な返信文を作成してもらう
  • 物語のプロットを考えてもらう

     といった、「何もない状態」から「たたき台」を作る作業で非常に頼りにされています。

  ビジネスと個人利用の垣根

   ビジネスシーン(法人利用)の統計でも、「情報収集」「メール・議事録の作成」「業務効率化」が上位を占めます。個人利用とビジネス利用のどちらにおいても、「文章作成」と「情報収集」がAIの2大活用分野であると言えます。

  利用率は若年層が牽引

   別の調査(2025年10月)では、生成AIの利用経験率は特に20代の男女で高く、50%を超えています。若年層を中心に、AIが日常的なツールとして定着し始めていることがわかります。



海外における生成AIの利用目的の調査結果

海外、特にAI開発を牽引するアメリカでは、日本とは少し異なる傾向が見られます。

結論から言うと、海外(特に米国)では、日本よりもAIを「新しい価値を生み出すためのツール」として積極的に活用する傾向があります。

日本(前回提示したデータ)

  • 情報収集・要約(効率化・時短)
  • アイデア出し(補助)
  • 文書作成(補助)

に対し、海外の調査データからは以下の特徴が読み取れます。

  海外(特に米国)における生成AI利用の統計的特徴

1. 個人利用:「生活サポート」と「学習」の割合が高い

2025年にQualtricsが発表した調査によると、個人の利用目的で最も成長したのは「個人的・専門的なサポート」で、全体の30%を占めました。

これは日本の「情報収集」と似ていますが、中身がより多岐にわたります。

  • 生活管理: スケジュール管理、ワークアウトの計画、子育ての相談
  • キャリア支援: 面接の練習、キャリア相談
  • 感情的サポート: 会話シミュレーション、悩み相談

次いで「学習・教育」(16%)や「技術支援・トラブル解決」(16%)が続きます。

「コンテンツ作成(文章作成など)」も18%と高いですが、それ以上に「生活や仕事のパートナー」としての使い方が急速に増えているのが特徴です。

2. ビジネス利用:「顧客満足度の向上」を重視

PwCが2024年に行った日米比較調査では、ビジネスにおけるAI活用の目的に顕著な差が出ました。

  • 日本企業: 1位「生産性向上」、2位「工数・コスト削減」
  • 米国企業: 1位「生産性向上」、2位「顧客満足度向上」

つまり、日本企業がAIを「内部の業務効率化(コスト削減)」のために使う傾向が強い(守りのAI)のに対し、米国企業は「新しい顧客体験の創出」や「新規事業」のために使う(攻めのAI)傾向が強いことが分かります。


主な目的

日本の傾向 効率化・時短(タイパ)

海外の傾向 価値創出・生活支援


個人の使い方 

日本の傾向 検索・要約・文章作成の「アシスタント」

海外の傾向 生活・キャリア・学習の「パートナー」 


企業の使い方

日本の傾向 社内業務の効率化、コスト削減(守り)

海外の傾向 新サービス開発、顧客満足度の向上(攻め)


海外、特にアメリカでは、AIを単なる「便利な道具」としてだけでなく、生活やビジネスを根本から変革し、新しい価値を生み出すための「相棒」として捉え、より積極的に活用していると言えるでしょう。


  結論

日本は長年、ディフェンシブ経営(守りの体制)を重視してきた国です。生成AIの活用もその延長線上にあり、まずは「効率化」「コスト削減」といった守りのDXが中心でした。一方で海外では、AIを「価値創出のエンジン」として捉えた攻めのAI活用が進みつつあります。この対比こそが、今後の日本に求められる変革の方向性を示しているのかもしれません。