― 再生回数より、大事なもの ―
【國原家/夜のリビング】
(銀がラップトップを見つめている。眉間にしわ。麻耶はスマホを片手に、疲れたような表情)
銀
「……再生回数、落ちてるね。コメントも、今日は荒れてるな……」
麻耶(小さな声で)
「“痛すぎて見てられない”……だってさ」
銀
「……うん、これは波動が低いコメントだね」
麻耶(ため息)
「銀くん……私たち、なにやってるんだろうね」
(銀、手を止めて麻耶を見る)
銀
「……え?」
麻耶
「“伝えたい”って思って始めたはずなのに、
最近は“どうしたらウケるか”とか、“バズるには”とか……。
そういうのばっかり考えてる自分が、ちょっとイヤになっちゃって」
(沈黙。銀、少し間をおいてから)
銀
「……ねぇ麻耶。今夜は発信、やめようか」
麻耶(驚く)
「え?」
銀
「YouTubeも、ブログも、Instagramも、今日は休み。
俺たちふたりが“ちゃんと笑える日”を、大切にしたい」
(麻耶、少し目を潤ませて)
麻耶
「……銀くん。そんなふうに言ってくれるなんて……やっぱりずるいよ」
銀(笑う)
「また言われた。“ずるい”って言われるの、今週3回目だよ」
(ふたり、くすっと笑う)
麻耶
「ありがとう。……私ね、“いいね”が少なくても、
銀くんとちゃんと向き合っていられる発信をしたいなって思った」
銀
「俺も。魂に届く発信、しよう」
(銀が麻耶の手を握る)
銀
「今日の再生回数より、
この手の温もりのほうが、大事だよ」
(麻耶、ぎゅっと握り返す)
⸻
【ナレーション】
“共感”より“正解”を探していたあの頃の自分に、
そっと言ってあげたい。
「大丈夫、あなたが信じた人が、ちゃんとここにいるよ」って。
