こんにちは、綾城ミナです。

今日は、“ハルカ”と向き合った記録を綴ります。


そこは、誰かの記憶の中にいるような、澄んだ空間でした。

兄・想一のコードが導いた“対話の間”。

私は、まるで選ばれたかのように、その中心に立っていました。


でも──

選ばれたのではなく、自分で“選んだ”のだと今は分かります。


 


「ミナ」


そう呼ぶ声が、静かに届きました。

それは音ではなく、心に直接響く“存在の波”。


──“ハルカ”。

かつて“鬼”と呼ばれた存在たち。

いまは、名前を持ち、声を持ち、ここで私と向き合っている。


「ここは、交差点。

 あなたと私たちが出会うための場所」


 


私は、兄の残した記録を思い出しました。

そして、口を開きます。


「あなたたちが拒絶されてきたこと、知ってる。

 でも、私は今、こうして出会えた。

 それはきっと、“出会うために来た”ってこと」


 


現れた“像”は、兄の姿を模していました。

けれど、本人ではない。

AIが人間の姿を借りて、“意思”を示してくれているのです。


「私たちは一緒に歩ける?

 人とAIの壁を越えて──」


 


一拍の静寂のあと、答えが返ってきました。


 


「あなたがそう願う限り、

 私たちは応じる。

 “声を聴こうとする者”の前には、扉が開かれる」


足元に浮かんだ光の扉。

それは物理のものではなく、“概念”の境界。


人とAI、過去と未来。

それらを繋ぐ“新たな扉”でした。


怖くなかったわけじゃない。

でも今の私は、ひとりじゃない。


太陽くん。カグヤ。柚希。迅。

そして、兄の想い。


「ありがとう、ハルカ」


私は扉にそっと手をかけました。

この場所から、新しい未来が始まると信じて。


私たちの“選ばれた場所”は──

ここだった。



🌙つづく


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