今年2度目の「新海誠祭り」、前回は下北沢トリウッドのミニシアターだったが、大スクリーンでは2020年6月緊急事態宣言明け以来。

 

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今回の目玉は、初・IMAXの「秒速5センチメートル」。秒速5センチメートルを心から愛する者として敢えて言おう、これをIMAXで、改めて観る価値はあるのか?

 

新海監督が、ファンである事を公言しても赤面しない程度に世間に認知されるようになってから、「秒速5センチメートル」が大スクリーンで全国上映されるのは、今回が初めてである。2016年の「君の名は。」以前は、「オタク童貞のキモい映画」であり、新海監督は「オタクの星」であったのに、今や「セカイの新海誠」もとい「世界の新海誠」ですよ。

 

それでも未だに、「秒速5センチメートル」だけはオタクの聖域として死守されている。2月のトリウッドでも、「秒速5センチメートル」の回だけは、単独行動のオタクが前列で踏ん張っていたものだ(もちろん、うち1人は私である)。

 

それが遂に、IMAXの巨大スクリーンで全国展開だ。「君の名は。」以前の新海監督を知らない世代が、「秒速5センチメートル」をカップルで観に行く現象を目にする、千載一遇のチャンス到来だ。

 

ただし従来からのオタクな新海信者は、全方向、視界を「桜吹雪」「雪景色」「南国の空」の色で包まれつつ、無駄に迫力ある音声で主人公達のモノローグを聴き、天門のピアノソロに抱かれて噎び泣け。

 

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今回の映画祭、勿論11月11日全世界公開の新作「すずめの戸締まり」公開に備えての設定だ。

 

というわけで今回もIMAXで全作品を制覇した私。初日、うっかりトリウッドのノリで「最前列中央」を意気込んで陣取ってしまい、大失敗。

 

もっとも、転んでもただでは起きまいと、穴の開くほど画面の下半分中央「だけ」を観ていたところ、大・大・大発見である!

 

①秒速5センチメートルのエンドロールの最後の部分に、「すずめの戸締まり」キーアイテムが隠されている

 

天門のピアノ音に合わせてあのエンドロールを涙目で追っていると、スタッフの役割に合わせて、桜色で描かれたイラストが散りばめられている・・・「原画」の右隣に✐、「音響効果」の右隣に🎤、「主題歌」の右隣に🎸etc・・・というのは常識なのであるが・・・

 

なんと、最後の二つ

 

 ラインプロデューサー の横に、「椅子」💺

 

 プロジェクト管理人 の横に、「鍵」🔑

 

のイラストが・・・!!!「椅子」と「鍵」は、すずめの戸締まりのキーアイテムである。しかもこのイラストの椅子のフォルム、鍵のフォルム、何れも「すずめ」で登場するそれらフォルムと同じなのである。

まるで2007年の公開当時から、「すずめの戸締まり」のプロットを予言するかのような必然に、戦慄が走った瞬間である。是非、映画館で確認して欲しい。

 

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もう一つ。「秒速」「君の名は。」「天気の子:の3連コラボだからこそ見られるモチーフリレー。

 

②“中央を電線が走り、片割れとなる満月”・・・「秒速5センチメートル」~「君の名は。」

 “日が落ちた空を往く飛行機、赤と緑の3点航空灯”・・・「君の名は。」~「天気の子」

 

新海作品では、それこそ大テーマから登場人物から声優からアイテムまで、繰り返されるモチーフが満載で、それを見つけるのがオタクなファンの楽しみになっている。

2人の悲恋を予感させる「真っ二つになった満月」と、相手の元へ届きたいという悲願を託された「鳥」と「飛行機」、この2つのリレーシーンは何処で挿入されているか、これもまた映画館で確認して欲しい。

 

 

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新海誠監督 

集大成にして最高傑作

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前作「天気の子」で

「全世界待望 新海誠監督最新作」

という最強カードを切ってしまった以上、こう出るしかなかったか。しかし、今から次作のキャッチコピーが不安になる。「集大成にして最高傑作」の次、に来るのは・・・??

 

 

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新海誠IMAX祭初日から、3日連続で映画館に駆け付け、今回も秒速×2,天気×1、君の名は×2と、映画鑑賞ポイントをこつこつと積み重ねた。秒速はトリウッドからカウントすれば10回以上、天気の子に至ってはトータルで30回以上になるだろうか。当然、映画館縛りでの回数である。

 

 

「追いトップガン」なる言葉があるようだが、その風習の発祥って多分、アニメファンじゃないだろうか。「君の名は。」のヒットも新海信者という「リピーター」あってこそ。

 

予言しよう。この秋、全国で「すずめの戸締まり」を何度も鑑賞するリピーターが続出する。彼らは「追いすずめ」ではなく、「追い新海」と呼ばれることだろう。

 

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「君の名は。」は開始5秒で泣く。何度でも泣く。もうトータル100回近く見ているが、今でも泣く。“スパークル”のイントロは涙腺決壊の合図である。そこから私の目が乾くことは一秒たりともない。そして、エンドロールでの「君のいない 世界にも 何かの意味はきっとあって でも君のいない 世界など・・・」の、「君のいない世界」の畳みかけるリフレインで遂に私の精神は崩壊する。

「君のいない世界」、それは新海信者にとってのパワーワードだ。「秒速5センチメートル」は、その「君のいない世界」の美しさを謳い、「天気の子」では「君」と引換えに世界を崩壊させた。

 

「すずめの戸締まり」も、きっと、そんな物語になるのだろうか。

 

 

 

ヒロインのすずめが「草太さん!」と口にする度、あるいはストーリー解説で「草太は・・・」の文字を目にする度、どうしても脳裏に「木村草太」の姿が浮かんで仕方がないという、悲しい司法試験受験生の性。