年に約1回、全く期待されていない、全く需要がなさそうな女(子)力アップ記事を勝手にお届けしています。
今回はバレンタインデー直前特集ということで・・・


先日、新色発売日に百貨店に買いに行ったら、もう女子力バンバンオーラな女子で溢れかえってました。女子たちのお目当ては、これ。

image


イヴ・サンローラン・ボーテの、ルージュ・ヴォリュプテ・シャイン。舌噛まずに言えるかしら?

サンローラン。一時はバブルの後遺症で勢いがなかったんですが、ここ最近は欧米系セクシーアダルト路線から、アジア系女子受けしやすいカワイイラブリー愛され路線にイメージ転向。客層もどんどん、若返ってます。ってそんな事が分かるなんて、どんだけ長い間このブランドを見つめてきたんだか、バレバレですな。

このリップ、ネットのポップ広告で「プロポーズさせるミルキーコーラル」とのキャッチコピーでお馴染み。婚活リップとして、バカ売れしてるとか。
その一方で製品名に付けられた「キスの快感を唇に まるでキスしてるみたいな快感リップスティック」という大胆なコピーは一体・・・これ、単に愛「され」る受け身な女子向けのコピーじゃないよね。よく見たらプロポーズ「され」るじゃなくて、「させ」るじゃないのこれは!


事前にどの色を買うか、予めDMで目星は付けておいたんだけど。その後ネットで改めて検討しようと、公式サイトの色リストを見て、私。
笑いが止まりませんでした!!!


image


えーっと、こんな感じに一色全てに説明文、もとい、ネーミング(キャッチコピー)が付けられているんですね。各々の色のイメージを一言で表現した。○○なピンク、××なレッド、とかね。
このネーミングがもう、笑撃すぎるのです。

まぁとにかく、百聞は一見にしかずで。


image
image



詳細に検討していきましょうか。

このキャッチーすぎるコピーは当然日本限定コピーで、本国はフランスで命名された正式な色名があるのです。

例えば、例のNo.15「プロポーズさせるミルキーコーラル」通称婚活リップは、本来は“コライユインテュイティブ”というパリマダームな名称。覚えられない、以前に、発音できないよ。

その隣のNo.16はいきなり「ライバルを出し抜くオレンジレッド」「ファーストデートのコーラルピンク」はいいとしてもその次「“IT GIRL”のレッドオレンジ」って既に意味不明。No.16はオレンジレッドで、No.30はレッドオレンジなのね。この「二度と同じ色名を使わない」こだわりが、ピンクゾーンになると何でもアリな言葉の乱れ撃ち状態になってます。

「本命女のローズピンク」「女王様のフューシャピンク」まさかこれ買う時、販売員さんに「あのー、“女王様のフューシャピンク”をお願いします」とか言う人なんかいないでしょうが、「こちらの“本命女のローズピンク”ですね!」と言い直す販売員がいたら面白いのにな。

「秘密のキスへのフェロモンピンク」そろそろ危険水域。秘密のキスだけで相当キてるのに、どんなフェロモン、どんなピンク??

「年下キラーの色っぽローズ」韻を踏む為なのかなんなのか分かりませんが、日本語まで怪しくなって参りました。

「アフェア上手のスモーキングプラム」何が上手なのかさっぱり意味が分かりません。

「恋愛成就のファッショニスタピンク」恋愛も手に入れたファッショニスタ。女として最強の誉れ。どんだけ強欲なのか。

「略奪OKルビーフューシャ」何でもOKなネーミングは遂に略奪もOKになってしまいましたよ。てか、略奪OKって、略奪「する」のがOKなのか「される」のがOKなのか、どっちなの???

更に受けるのがレッドゾーン。

「女豹の赤リップ」

遂に「女豹」ですよ「女豹」。しかし女豹という二文字を見た瞬間、なにやらデジャヴ感が・・・

あ。

このキャッチコピーの笑いは、雑誌「NIKITA」の笑いと同じだということに、今、気付きました!

ニキータ。2004年彗星の如く出現し、一部の者に笑打撃を与えまくった後、極一部のマニアックな読者のみに惜しまれつつ2008年に去っていった女性月刊誌「NIKITA」を覚えて(知って)いるでしょうか?



「艶女」と書いて「アデージョ」、「艶男」と書いて「アデオス」を皮切りに、アニマル柄を着る女を「野獣美女(アニマリータ)」ただの柄ワンピを着てるだけなのに「柄美女(ガラージョ)」などなど、意味不明な造語を連発しまくっていたニキータ。キャッチフレーズもまた笑撃的な「あなたに必要なのは若さじゃなくて“テクニック”」。かの「LEON」の名物編集長が、映画「ニキータ」のファンということで付いた雑誌名・・・そうか、LEONも映画「レオン」由来だったのね。

この表紙の号を持って、文字通りお腹抱えて笑い転げながら「これ、見て下さいよ、これ」と伝えに来た後輩の男の子。2人でさんざん笑い倒した記憶が甦り・・・
そう、この「モテ」「艶」「SEXY」の3つのフレーズを大文字でこれでもかと激しく主張していた「ニキータ」は、元祖・肉食系女子御用達雑誌だったのですよ。当時はまだ、「肉食女子」なる言葉も登場してなかった時代だと思うけど。

でも、ニキータが世間に笑いを提供するのみでそれ以上浸透しなかったのは、そもそも日本にニキータが存在しなかったというのもそうだけど、余りにラテンすぎるテイストが、日本人のDNAにそぐわなかったからじゃないかしら、と。男女共に温度差がありすぎたのよね。ここまでガツガツしてる女性って「モテ」るどころか数100メートルも引かれた挙げ句、遠くで指さして笑われてる、それがあの雑誌だったんじゃないかな。
それに、「カワイイ」という言葉は、日本語にしか存在しないし、「可愛い」が売れるのはアジア圏内だけだし。男女共にカワイさを求めるのが日本人の圧倒的マジョリティだもの。

サンローランのキャッチコピーは、ニキータの爆笑コピーの魂を受けつつ、それをちょっと「カワイイ」方向にシフトダウンしたものじゃないかしら、と思ったのですよ。

それでもまだまだ充分恥ずかしいネーミング。最も意味不明なネーミングがNo.21の「THEフォトジェニック・ブロガーレッド」「恋に落ちるラズベリーレッド」なんて大人しすぎて平凡に思えるほど。
「美味しいキスのジューシィチェリー」「大人のキスの血色レッド」どんだけ飢えてるんだか?ていうか、血色レッドて・・・大人のキスって血が出るほど唇噛んじゃうの?笑

「THEモテ色ヌーディピンク」「オフィスクイーンのモテピンクベージュ」ほらほら、ニキータで一押しされていた「モテ」の二文字があちこちに。
しかしいくらなんでも「ファーストキスのヌーディーコーラル」はないんじゃない?(笑)とてもファーストキスの初々しさの欠片もないセクシーさが漂うネーミングなんだけど・・・

「オトナの純愛ミルキーホワイト」誰の色にも染まっていないピュアホワイト色のハズなのに、どこかいやらしい感じがするのはなぜ??

どのネーミングにも共通してるのは、“攻め”の姿勢。サンローランのネーミング、それはニキータのように“攻め”てることを感じさせないよう、“受け”を装う可愛い肉食系女子ってとこかしら?


こんなに頑張って付けたであろうキャッチコピー。このまま埋もれさせておくには惜しいような。
今思いついたんだけど、サンローランのリップを持っている人は、選んだ色で性格診断遊びなんてどうでしょう?
例えば・・・

私が愛用しているのは、一年前に買ったNo.32だけど



復活愛へのストロベリーピンク。余り面白くないなぁ。


でもって、先日買った2本のうち、1本目のNo.52。



友達以上のベリーピンク。前掲と併せて見れば、「無難でツッコミ処のない普通の女性」という診断結果(?)が出そう。まぁ、いいんじゃないの。

だがしかし、問題はもう1本のこれ。



端整美女のスキャンダラスベージュねぇ・・・
イメージに合ってるねと言われても言われなくてもビミョーだなぁ・・・


ちっとも好みのタイプじゃないのに好きになった男の子の「好きな理由」を友達に聞かれて、どうしてかな?どこが好きなのかな?と3分間必死に考えに考えた結果、私の口から出た言葉が「笑いのツボが一緒だったから」。思いもよらない理由に自分でビックリしたことがありました。一緒になって笑い転げてる間に恋にも転げ落ちてた、みたいな感じ?

「ニキータ」挟んで一緒に笑い合っていた光景を瞼に映しつつ、もし今、このサンローランのキャッチコピーを一緒に爆笑してくれる人がいたら、好きになっちゃうかもしれないな、なぁんて思ったりしてねラブラブ


image