某ブランドのセールが、銀座で開催中です。

以前は元町チャーミングセールに併せて、元町店で開催していたのですが、
元町店を閉店したもののセールはどうしてもやりたいらしく、元町「チャーミング」の名称をちゃっかり拝借して「銀座チャーミングセール」・・・では身も蓋もないので「銀座チャーミングバザール」と銘打っての開催になりました。

以前、ここのオーナーさんは

「セールはやりません。なぜなら、私にとって服は可愛い我が娘のようなもの。
 娘をお嫁に出すのに、安売りするなんてもってのほか。

 でも、例外的に地域の振興の一環として、セールに参加することはあります」

・・・的な事を著書で明言されておられました。

が、後者は、元町チャーミングセールに参加しないで、独自に普通のセールをするということで、
前言撤回か方針変更かを余儀なくされたということでしょう。

前者、これはセールに参加する上で大いに参考になります。
オーナーのこの意思を念頭に置いて、セールに臨むと、様々な事が見えてきます。

某ブランドセール参加歴10数年の私の経験から、いくつか言えることを挙げさせていただきますと。



1.事前に足繁くショップに通うか、カタログやマガジンをあらかじめ見ておいて、定価を頭に入れておくこと。

葉書に書いてある30%ー50%OFFというのはアテになりません、というよりあってないような表示と思って下さい。ここのブランドの値付けは結構適当です。たまにきっちり3割引き表示がなされますが、銀座に移ってからはざっくり値付けです。(例:定価23万→18万、これは3割引きではありませんが、こんな感じです)たまに定価より高いこともありますから、要注意です。逆に物凄く値引率がいいものがあります、が、それはとても古い商品です。(例:定価23万→8万、これは半値以下ですが、8年前の商品です)


2.初日はコートやドレス等高額商品、一般セールに入るとセカンドラインやニット等が追加されることが多い。

年によって異なりますが、一般セール前のお得意様向けのセール期間は、割と高額商品が並びます。これだけかと思って油断していると、後日お安いセカンドラインがさりげなく投入されるのが常です。銀座店に馴染みのスタッフがいる場合は、奥から希望商品を持ってきてくれることも。但し、何れにしてもお安いラインは余程余ってない限り、すぐ売れてしまうようです。元値3~4万円台の使いやすいニットが並んでいたことはまずないと思います。


3.9号サイズのサンプル品に注意する。

毎年、サイズは9号が最も多く、次いで7号。11号はほんの少しです。元々11号は作りが少ない上、ふくよかなミセスによってプロパー段階で奪い合いになっているので、殆どセールに回ることがありません。

9号サイズの半分近くがサンプル品です。サンプル品は二つの点で注意しなければなりません。まず、商品化されず陽の目を見なかったものは、恐らく世界に二つと無い文字通り「一点物」ですし、中には面白いものもありますが、何らかの理由があって商品化に至らなかったものです。中には、「機能的に問題がある」と思われるものもあり、じっくり見れば大体見抜けるはずです。
私が見たサンプル品では、裏表逆にしたデザインのものがあり、これは実際着ると、裏地が悲惨なことになると予想されます。それでいて、サンプルであっても全然安くなっていません(普通に、現品の同等商品の2~3割引か、適当な値付け)。普通のアパレルでのサンプルセールは、8割~9割引きですが、ここの商品はたとえサンプル品であってもその服は可愛い我が娘なので、安売りはしないのです。

もう一つのサンプルは、商品化されているものだが受注品のサンプルとして作られたもの。これは、各店舗をグルグルと回って多くの人の袖が通っているので、見た目が相当哀しいことになっています。でもこれは一見して分かりますね。


4.ヴィンテージものに注意する。

どんなに古い商品であろうと、どういう状態であろうと、決して安売りはしないのがこのブランドです。時々、驚くほど古い商品に巡り会うことがあります。倉庫の奥から出してきたのね、と感慨深くなります。先日は2005年か2006年に見たコートがあり、懐かしく手に取りました。さすがにそれは、7割引になっていましたが、その位のヴィンテージものでないと、7割引きにはしないのです。服は、可愛い我が娘なので、基本、何年経っても値引率は良くなりません。
ただ、古い=ダメというわけではなく、カシミヤコートなどは古ければ古いほど、上質だったということが分かります。あぁ昔はこんなに質の良い生地を使っていたのね、と驚く方もいらっしゃることでしょう。ぬめりのあるカシミヤ、なんてもう何年も使ってないですからね。私も古いと承知でコートを買った事があります。但し淡い色は古くなるとNGです。


5.これからのお買い物の参考にするために、売れ筋や状態をチェックする。

自分がプロパーで購入した商品が、セールになっていたらがっかりですよね。張り切ってブティックの服を着てセール会場に乗り込んだものの、その正に着ている服が、値下げされて大量にラックにかかっている時のいたたまれなさ・・・。特に、ワンシーズン前の新作に注意です。梅春物が、その年の9月のセールに出ていたりします。なので、他のブランドの服を着て行くのが無難です。
売れ残っているセールになっている商品を見ると、どのような商品が売れ残るのか、分かります。最近は、ある一種類の型が何点も大量に出ている事が多く、それらの特徴は
 ①元値が高額である。カシミヤセーターやカーディガン、コート、10万以上のドレス。セカンドラインものや、安価なニットは殆ど残っていないと考えて良いでしょう。
 ②形が奇抜である。定番ものや、鉄板ラインの服は売れています。変なデザインのものは売れません。
 ③色が淡い。白いコットンドレスはまずプロパーでは売れません。
しかし、セールを待って購入という技が効かないのがこのブランドの特徴です。各アイテムの生産量は抑えていても種類が大量なので、セールの時に果たして何が残っているのか、予測が付きません。予測が付かないと言いつつも、プロパーでの売れ行きを見ていれば、自ずと半年後にセール会場で出会えそうなアイテムが見えてくるので、一種の賭けですね。


6.ファーはついていればラッキー、元々ついていた筈のものはアンラッキー。

リアルファーしか扱わないこだわりのハイブランドですが、セールに出す時は元々ついていたファーをはぎ取ってから出すのがお約束です。昔は、取り外しのできるファーの場合、ファーと服を繋ぐ「ボタン」や「ボタンホール」が、襟元に点々と残っていた為、「あっこれはファーがついていたものなのに」と元のデザインを知らなくとも分かったものですが、最近は綺麗に痕跡残さず外しています。それでも、首回りに点々と残る怪しい糸くずや針跡で「あっ・・・」と分かるのですが、極最近はそれすらも分からないように丁寧に処理されています。
先日は、ミンクファー付きカシミヤスーツ28万だったと思うのですが、それがミンクなしで19万円で売られていました。ミンク襟が10万円?いえいえ、これはセールなのですから、ファーなし分だけでなく、更に値下げしないと。仮に28万→19万とすると、普通に30%オフ程度ですよね。計算すると全然お得じゃありません。
それに、ファー付きのものは、ファーを前提としたデザインなので、ファーがないとバランスが悪くなる事が多いのです。そう考えると、余程の事がない限り、ファー付きだったものの商品は手を出すべきでないと思います。

でも、縫い付けてあるものは外しようがなく、ファー付きで売られているものがあり、ラッキーですね。でも、その分値引率がとても悪いので(3割未満)、お得なのかそうでないのかよく分かりません。



あとこれは未検証なのですが、割と人気商品だった筈なのに沢山セールに出ている商品というのがあります。これどうしてかなと思って見れば、「キズあり」「難あり」の商品なのですね。昔は吃驚するような傷物が紛れ込んでいましたが、最近はきちんと細かく「難点」が示されています。どれも以外と目立たない難点だったりするので、購買欲をかき立てられます。
でも、もしかしたら、人気商品なのに難点ありで沢山残っているというのは、それだけ難点が「出来やすい」という難点があるんじゃないかと・・・人気がないから売れ残ったのではなく、生地が弱かったり何らかのキズ、難点が「出来やすい」から売るに売れなくなったもの・・・
「これがセールに出ているなんて!」と喜んで飛びつく前に、一旦冷静に観察すべきかも、しれません。あくまでも憶測です。


以上だいたいこんな感じでしょうか。
あ、私は今回何も買っていません。最近お店に足繁く通っていないので、プロパーを把握していないんです。プロパーを把握しないで買う気にはなりません。あと、最近質の低下が著しく、かと言ってヴィンテージものに手を出す気にもなれず、何も買わずに出てしまいました。



元町時代は、ちょっと遠いですが、朝早く出かけてスタバでスタンバッって時間が来たら並んで待って、ギュウギュウになりながら何とか購入、その後ゆっくり元町でお茶やランチなど楽しめたものです。何より、店外はチャーミングセール一色ですから、楽しくないわけがないのです。
チャーミングという名称は伝統ある元町だから許されるのであって、元町取ったら恥ずかしいほどの死語だということに気付かないのはどうしてでしょう?

私、個人的にどうしても首を傾げざるを得ないのが、この元町の「チャーミング」という名称をちゃっかり拝借している精神もそうですけど、ブランドタグにセールマークをペッタリと付けるという精神も眉をひそめてしまいますね。
最近は知りませんが、エルメスでは以前、Sというソルドマークは、成分タグのところにしっかりとしかしひっそりと押されていました。商品の顔とも言うべきブランドタグにセールマークを付けるなんてもってのほかだと思います。可愛い我が娘同様のお洋服がお嫁に行きそびれ、泣く泣く少しだけ安くして売るのに、わざわざ傷物にしてから売るとはどういうことでしょう?只でさえ古くなったり傷がついていたり普通に「傷物」なのに、更に「これは傷物です」と永久レッテルを貼るなんて、残酷すぎませんかね。セールで売られていても、その商品に変わりはないのに。あのマークのせいで、コートを買うのを躊躇する人が多そうですし。脱いだ時、「あらっあの人、傷物のコートをお召しなのね」・・・なーんてね。
まぁ、「地域振興の為にセール参加」同様、言い分が矛盾していても、カリスマ経営者の独裁営業なので、誰も「おかしい」とは言えません。私の友人に欧州系高級メゾンに勤務している子がいますが、業界でも評判が芳しく・・・おっとキスマークまぁ色々と不思議なブランドのようです。


今後のお買い物の参考になれば幸いです。あ、もう明日で終わりか。

じゃぁ、次回のご参考までに。賢くセールを利用しましょうね。