あ。北村隆司さんに、もう一つ教えて差し上げなければならないことがあった。
マスコミってのは、基本姿勢が反体制ってとこに存在意義があるんじゃないか。
最近はその役割を、ネット住民に殆ど奪われている観もするが、
かつては「第四の権力」とか言われて猛威をふるっていた時代が、そう遠くない過去に、存在していた。
権力をチェックするのが我々だとばかりに、まずは対抗勢力である最大権力、
つまり政府とか行政、政治家に対して攻撃するのがマスコミの役割である、というのが一応建前だったと思うんですが。

なので、加害者の親が一番悪いっていう主張は間違ってないかもしれないんだが、
この問題で、マスコミが加害者とか加害者の親を正面から叩いたんでは、それこそ言論府たるマスメディアの品位にかかわるというか、
近所に住んでる住民が石を投げるみたいなレベルの言論は、プライドにかけて極力慎むべきなのではないか?
そうでなくてもこの事件、既にネット住民が総動員して、加害者側の人間を攻撃してますから(最近若干鎮火気味ではあるが)。

マスコミはこの事件を報道したこと・報道し続けていることで大きな役割を果たしたようなものであるが
(マスコミの報道がなければ、ネットに火が付くこともなかった)、
とにかく一個人では調査能力に限界がある部分、学校はじめ教育行政というものをこの際、
徹底的に調べ尽くし、背後の関係を炙り出し、批判の矢を放つ事をやめないで頂きたい。

それなのに「親の責任をマスコミが問え」って・・・いや、加害者の親でPTA会長さんがビラ撒いたとか、ちゃんと燃料投下してますって。
いやそうじゃなくて、一個人の親の「しつけ」がなっとらなんてマスコミが主張するようなレベルの話じゃないって話です。
それ主張するなら、戦後の人権教育の結果規範意識が緩んだ親が大量生産されたとか、日教組の教育の成果が今日の無責任な親を産んだとか、多少なりとも掘り下げた分析でもして下さいって。

北村隆司さんがコラムで噛み付いていた、「尾木ママ」こと尾木直樹に対しては、
別の意味で私は文句を言いたい。
最新の記事では、「自殺といじめの因果関係は95%」と言ったらしい。
残りの5%は一体何だと言うのだ!?
どうせ言うなら、100%と言い切るべきだろう。
というか、そもそも尾木ママは、第三者委員会の遺族側の要望として委員推薦を受けている身ではないか。その立場で、因果関係に言及してしまって、いいのか!?
・・・という問題は、裁判ではないので言及しても良いとするとしても、
気に入らない。根拠を示さずして出した、95%という数字が。
そう思いたくはないが、保険かけたような計算なニオイがする。
大体、大津市いじめ問題がマスコミで取り上げられ、ネット叩きが始まった当初、
「加害者の保護を緊急にすべきです!」
と番組の終了時間ギリギリに叫んだ評論家ってのが誰あろう、尾木ママなのである。
余りに多くの発言をあちこちの番組でしてるものだから、みんな忘れてるみたいだけど、
私はちゃんと覚えてるぞ。


さて、責任の話に戻ります。


Y君が、一体全体どうして惨たらしく殺されなければならなかったのか、その経緯は以下の通りである。


(前略) 被告Gが選定者Fの自宅に到着してから10分くらいたったころ,被告Dは,被告Gから携帯電話を借り,そのアドレス帳に登録されている名前を読み上げながら,どのような人物かを被告Gに確認し始めた。被告Dは,被告Aと被告Bがむかつくなどと話をしていた後輩を見つけ出そうと考えていたが,被告Gにはそのことを伝えず,「女でも呼ぶべよー。」などと言っていた。
  そのうち,アドレス帳にYの名前が表示されたことから,被告Dが「Yってどんなやつ。」と尋ねたところ,被告Gは「背の高いやつ。」と答えた。それを聞いた被告Aと被告Bは,「そいつあいさつしねえ。」,「そいつを呼べ。」などと言いだし,被告Dがこれに同調した。被告Gは,「Yはあいさつしますよ。」と言ったが,被告Aらには全く聞き入れられなかった。
  被告Dは,被告Gの携帯電話でYの携帯電話に電話をかけ,「今から来れる。」,「Gもいるから。」などと言って呼び出したが,Yは,被告Dらとは面識がないこと,深夜であり,当日の朝からH高校の入学式が予定されていたことなどから,「無理です。」と言ってこれを断った。被告Dが被告Aに対してYの回答を伝えたところ,被告Aは電話を代わり,「来いよ。」などと言って強迫したが,Yは,「親が厳しいから来れないっすよ。」と言ってこれを断った。被告Gも電話を代わり,「今来た方がいいよ。」と言った。被告Cも電話を代わり,「Gも来てるんだから,一緒に来て飲むべ。」と言った。被告Bは,なおも呼出しに応じないYに腹を立てて,電話を代わり,「お前,今日来ねえと,探し出してボコボコにしてやっからな。」などと言って強迫したところ,Yが「勘弁してくださいよ。」と言って断ったため,更に激怒した。被告Dが電話を代わり,「今日来た方がいいよ。」,「今日来ればやんねえってよ。」,「今日来なければ,まじやられるよ。」などと言って呼び出した。
  被告A,被告B,被告C,被告D及び被告Eは,先輩が呼び出しているにもかかわらず,拒否していたYの態度が生意気であると感じて激怒しており,Yが到着したら,そのことに因縁を付けて暴行しようと考えた。
  電話による呼出しは約6分間に及び,結局,Yは出向くことを承諾した。そこで,被告Dは,Yに対し,M中学校の近くにある駄菓子屋の前に来るように指示した。
  一方,選定者Fは,被告Dが被告Gの携帯電話のアドレス帳を確認し始めたころ,自宅の外に行き,当時交際していた女性に電話をかけて話をしていたが,電話が終わって部屋に戻ったところ,被告A,被告B,被告E及び被告Dが,「Yの野郎,会ってもあいさつしねえ。」,「頭に来るよな。」,「生意気でむかつく。」,「やっちゃうべ。」などと興奮した様子でしゃべっていたことから,Yを呼び出して集団で暴行を加えようとしていることを認識した。選定者Fは,自らYに対して暴行を加えるつもりはなかったものの,Yが暴行を受ける様子を見てみたいという気持ちや,暴行を止めようとすれば被告Aや被告Bから自分が暴行されるおそれがあるとの考えから,Yに対する暴行を止めようとはせず,黙って自室にいた。



この後、Y君は彼らに現場に連れて行かれ、いきなり瀕死の状態に至るまで暴行を加えられ続けるのであるが、とにかく、Y君に何一つ、落ち度もなければ理由すらないということがよく分かる。
裁判所の認定した事実によると、Aらは地元でも札付きのワルで、所謂不良少年グループであったらしい。実は、Y君を呼び出す前も、別の少年を呼び出して恐喝を行っているのである。その後、場所を変えてFの自宅に集結し、Y君を呼び出そうということになったのである。
そして、この経緯の中で、GがいなければY君が呼び出されることはなかったという事実も分かる。そして,Gの反論で主張されたことであるが、

「被告Gは,被告少年ら6名から自らが暴力を受けることを恐れており,被告Aに命じられるまま仕方なく電話に出て,Yに対し,「来た方がいいよ。」と言わざるを得なかった。」



そして、Gとその親の責任について、原告・被告双方の主張は次の通りである。


加害少年G本人の責任について

争点③(被告Gの不法行為責任の有無)について
    【原告らの主張】
    □ 被告Gは,被告少年ら6名に良く思われたい,気に入られたいとの思いから,本件集団暴行以前においても,被告A,被告B,被告C,被告E及び被告Dらによる集団暴行の被害者の呼出しに協力し,集団暴行の現場にいてその様子を黙認するなどして,これに協力してきた。
    □ 本件集団暴行においても,被告Gは,友人であるYが被告Aらから集団暴行を受けることになることを十分に認識していながら,安易にYの呼出し行為に協力したばかりか,自らも電話口に出て,「来た方がいいよ。」などと,あたかも今来れば何事もないかのような口ぶりで直接話しかけ,Yを呼び出した。また,本件集団暴行が行われている間,本件第1現場付近におり,酔ったふりをするなどして,本件集団暴行を黙認してYを見殺しにした。
      これらの行為は,被告少年ら6名とともに共同不法行為になることが明らかである。
    □ 被告Gは,前記□に加え,所持していた携帯電話により他人に救助を求める機会が十分にあり,かつ容易であったにもかかわらず,他人に一切救助を求めようとせず,そればかりかYがひん死の状態であることを被告Eから知らされるに至り,Yが死んでしまうかもしれないと考えながらも,証拠隠滅のために直ちに病院に搬送せず,しかも意識不明の状態に陥っているYを安易に移動させることを黙認して,Yの発見及び救助を遅らせた結果,Yを死に至らしめた。さらに,被告Gは,携帯電話の発信記録を消去したり,警察にうそをついたりして証拠隠滅行為を行った。
      これらの行為は,被告少年ら6名とともに共同不法行為になることが明らかである。

    【被告Gらの主張】
    □ 被告Gは,本件集団暴行以前の被告A,被告B,被告C,被告E及び被告Dらによる集団暴行の被害者の呼出しに協力したことはない。
    □ 被告Gは,被告少年ら6名に呼び出された際,被告少年ら6名が集団暴行の対象を聞き出す目的を持っていたことを知らなかった。被告Gは,被告Dから場を盛り上げるために女の子を呼び出そうと言われ,被告Dに求められるまま自分の携帯電話を渡した。そして,被告Dがその携帯電話をいじくっているうちに,Yが登録されている画面を示し,「こいつはどんなやつだっけ。」と被告Gに尋ねたため,被告Gは,何のためらいもなく,「サッカーをやっている背の高いやつですよ。」と答えた。すると,被告Aらが「そいつはあいさつをしない生意気なやつだ。」,「呼び出せ。」などと言い出した。被告Gは,この時初めてYが呼び出され,被告少年ら6名による集団暴行の対象とされる可能性を予見した。そこで,これを阻止するため,被告Gは,被告Aらに対し,「Yはちゃんとあいさつしますよ。」と提言したものの,被告少年ら6名の聞き入れるところではなく,被告Dが手にしていた被告Gの携帯電話がそのまま使われ,Yが呼び出されることとなった。
      そして,被告Gは,被告少年ら6名から自らが暴力を受けることを恐れており,被告Aに命じられるまま仕方なく電話に出て,Yに対し,「来た方がいいよ。」と言わざるを得なかった。
      かかる経緯に照らせば,Yを呼び出したのは被告少年ら6名であり,被告Gは単に呼出しのための道具として利用されたにすぎないから,被告Gには共同不法行為は成立しない。
    □ 被告Gが本件集団暴行が行われている最中にだれかを呼び出したとしても,Yへの暴行が途中でやんだとは考え難い。また,証拠隠滅行為を行ったのは被告少年ら6名であり,被告Gは,被告少年ら6名から帰宅が許されなかったため,仕方なく選定者Fの自宅付近にいたにすぎない。なお,被告Gは,被告少年ら6名から,一人でどこかでスケボーをしていて,Yに電話をかけたが断られたことにする旨命じられ,自分の考えで携帯電話の発信記録を消去した。
      かかる経緯からすれば,被告Gには共同不法行為は成立しない。



加害少年Gの両親の責任について

争点⑨(被告G1及び被告G2の不法行為責任の有無)について
    【原告らの主張】
    □ 被告G1及び被告G2は,被告Gが塾帰りにゲームセンターで遊び,深夜徘徊を繰り返していることを認識しており,中学校の卒業式前日の平成14年3月8日に至っては,深夜に家を出て早くとも午前5時ころに帰宅したにもかかわらず,深夜徘徊の問題性を重視せず,何ら積極的な働きかけをしなかった。
      また,被告G1及び被告G2は,被告Gが被告少年ら6名と交遊があったにもかかわらず,その関係を把握せず,被告Gが喫煙,飲酒や深夜徘徊で警察官から注意された事実も認識しておらず,被告Gに対する監督をしていなかったことは明らかである。
      加えて,被告Gは本件集団暴行当時15歳であり,監督義務者の監督が強く期待される年齢であった。特に,高校受験が終わり中学卒業後高校入学までの時期は,はめを外し,ときに非行に走りやすい時期であるし,中学からも高校からも比較的指導がなされない時期であるから,監督義務者としては一段と徹底した監督義務を尽くすべき時期であったといえる。しかし,被告Gの飲酒,喫煙,深夜徘徊,不良交遊等といった行状にかんがみ,被告G1及び被告G2が被告Gに対して適切な指導監督をした様子は全く見受けられない。
      よって,被告G1及び被告G2の被告Gに対する監督義務違反は明らかである。
    □ 被告G1及び被告G2は,同居する両親として,被告Gの上記のような問題行動や不良交遊を知っていた又は容易に知ることができたのであり,これに対して相当な対応もせずに放任しておけば,粗暴的な不良仲間との深夜徘徊から集団暴行に発展するおそれもあり得ることを十分予見できたし,場合によっては,被害者に死亡の結果が生ずる事態も予見できたというべきである。
      よって,被告G1及び被告G2の被告Gに対する監督義務違反とYの死亡の結果との間には相当因果関係が認められる。

    【被告G1及び被告G2の主張】
     被告Gは本件集団暴行に何ら関与しておらず,被告G1及び被告G2の被告Gに対する監督義務違反はおよそ想起し得ないし,Yの死亡との間の相当因果関係もない。