たまたまなのだが、車で帰宅する時に必ず通るルート途中に、中島知子さんが訴訟を提起された、あのマンションがある。
例の、占い師とその家族が棲みついたマンションだ。
中島知子は既に退出しているらしいが、それでも今日も、いかにもという格好をしたカメラを構えたおっさん・お姉さん連中が張り込みを続けてていた。ご苦労さんだ。

この占い師だか霊能者だかのせいで、最近は占い師やスピリチュアル商売があがったりなんだそうだ。いいことだ。
でも人間は忘れっぽいので、半年か一年くらいで元に戻ると思うよ。
そうならない為にも、なるべく長く、この騒動を長引かせ、世の女性達に警鐘を鳴らし続けて欲しいものである。
霊感商法やその類の詐欺の被害申告の、実に8割が女性からなんだそうだ。女性は男性よりも、「勘が鋭い」とか「感性に頼りやすい」と言われるから、占い・霊感・スピリチュアル系に警戒心を抱く事がないのかもしれない。

それにしても、中島知子の占い師のI氏。彼女は別に、殺人罪詐欺罪詐欺未遂罪等窃盗罪と刑法上の罪責オンパレードの木嶋佳苗と異なり、I氏は刑法のみならず、法に触れる事は一切していない。
しかし、ある一点に於いて、共通点がある、と書いた。
訂正させて欲しい。
他にもう二点、共通点がある事に気付いた。

まずは、不可解であること。
木嶋佳苗の不可解さもそうだが、I氏が、一体、何がしたいのかやはり分からない。
お金を直接要求するわけではない。文字通り、衣・食・住を、神のお告げと称して、自身と自身の親族に提供させているだけだ。
結果的に、提供している側は借金を背負い込む程貢がされてるが、これが「詐欺罪」に当たるかどうか、非常に微妙である。
刑法上問える詐欺罪とは、①欺罔行為があって、これにより②錯誤に陥り、その結果③金銭や物品等の処分行為があり、それによって④財産的損失が生じていなければならないのだが、恐らく欺罔行為があったと言えるかが問題になる。欺罔行為には、文字通り「騙す意思」がないといけないが、本人が心から「神の意思を伝えただけ」と信じていたとしたら、そこに「騙す意思」即ち犯罪の「故意」が存在しないことになる。
I氏の故意を立証する事は難しいので、警察に相談しても弁護士に相談しても、詐欺罪に問う事は難しい、という返事になると思う。
無論、被害者が多数結束して情報を提供し合えば、もしかしたらI氏はどこかでボロを出しているかもしれないので、立件可能な程に追い込む可能性はなくはない。
それにしても、少なくとも現時点では、何ら犯罪は犯していないことになっている。
そして、I氏は結局、単に衣・食・住を提供させているに止まらず、自分に過度な依存をさせるように仕向け、意のままに操り、相手に客観的に見れば「奇異なこと」をさせている。これは、依存を深める為にしている事なのか?そうでないとしても結局、I氏のターゲットになった者は多くのもの・・・お金や、友人、人間関係、仕事、人生そのもの・・・を失っている。
近い筋の人の話によれば、I氏は「人が破滅していくのを見たいのではないか」と言う。
I氏に騙されていた被害者の一人が、目が醒めてI氏を自宅から追い出した時、I氏は「私はただ、全面的に私を受け入れてくれる人が欲しかっただけなのに」と吐き捨てて行ったという。
こうして情報を並べ立てて行っても、全然、脈絡がないではないか。
「破滅していくのを見たい」というのと、「私を全面的に受けれて欲しい」というのは、一致しないどころか、何というか、欲望のレベルからベクトルから何から何まで別次元に見える。そもそも、I氏が被害者に吐き捨てたというその最後のセリフ自体、I氏の本心かどうか。それも嘘かもしれないのだ。
というわけで何から何まで不可解な、I氏の欲望。一体彼女は、何がしたいのか?


嘘かもしれない、と言えば、I氏の情報で確かな事は、「昔から嘘つき」「虚言癖があった」という事である。
昔からなのかということはおいとくとしても、現在、大変な嘘つきである事はどうやら間違いがない。福山雅治も迷惑しているし。
そう、この「嘘つき」「嘘ばかりついている」というのが、木嶋佳苗との共通点でもある。
嘘、には普通、目的がある。
小学生の頃、「うちのお父さんは四国に火力発電所を持っている」「水力発電所を持っている」と自慢する子がいて、嘘つきだと責め立てた事があったが、あれは可愛い子供の嘘なんだから、同じレベルで鬼の首を取ったように「嘘つき」と糾弾する、自分も幼いなと思う。
まぁ要するに、見栄を張りたい為の嘘である。
ごまかす為の嘘、もある。真実が分かると叱られたり、嫌われたりする。それを避ける為に嘘をつく。
これも小さな子供の頃から見られる典型的な嘘である。

木嶋佳苗の嘘は、騙す為の嘘であった。ブログに書いた嘘は、見栄のための嘘かもしれない。
だが、被害者にむけられた嘘は、全て計算し尽くされた嘘であり、その嘘を真に受けた被害者達は、馬鹿みたいにポンポンと、現金を振り込んでいたのだ。
I氏の嘘は、芸能人と親しいとか顧客にいるとか、人の信頼を得る為の嘘であったり、「神のお告げ」と称してマインド・コントロールしやすいよう、他人と連絡を取らせないようにしたり、孤独に追い込んだり、仲違いさせるような、これまた計算し尽くされた嘘である。だいたい、神のお告げそのものが全部嘘なのかもしれない、というか真実は全部嘘なんだけど。
そんなわけで、二人の「嘘」は、同じ「人を騙す為の嘘」であり、嘘の目的としては最低最悪なタイプの嘘と言える。およそ人がつく嘘の中で、最も唾棄すべきタイプの嘘を吐きまくっていたわけだ。



最後の一点は、二人とも一見、「何故騙されるのかが分からない」ように思えること、である。
木嶋佳苗の裁判は、連日傍聴人で溢れているらしいが、みな「なぜ、木嶋佳苗に男が次々と騙されていったのか」に関心が集中している。
I氏も、「なぜ、中島知子が騙され続けているのか」その騙しのテクニックを知りたいと、マスコミはI氏の過去の掘り起こしに躍起になっている。


何を考え、何を欲し、何が目的であんなことをしているのか分からない。
嘘ばかりついて、人を騙している。
そして、何故みんな易々と騙されるのか。


とにかく訳が分からない、同じ人間として、理解を超える。まるでモンスターだ。
だからこそ、普通の人が、苛立ちながらも知りたいと思ってしまうのは自然な事だ。




一週間前、テレビに中島知子の直前に、I氏からマインド・コントロールを受け、騙され続けていた被害者・「千住ひかる」さんが出演し、その洗脳の手口を告白していたが、衝撃的な内容であった。
まず驚いたのが、被害者・千住ひかるさん自身も、占い師だということだ。驚いた・・・というよりは、正直、苦笑である。
私は常々周辺に主張している事があるのだが、占い師・霊能者・スピリチュアル・カウンセラーとして、食べて行かれる程に売れる為には、詐欺師的な才能がないとムリである。詐欺師と言っているわけではない。しかし、詐欺師的要素がない人は絶対、無理である。
売れっ子のスピリチュアル・カウンセラーの話を聞いたり、HPを見ると、非常に上手いのである。見えない人には見えないけど、見える人には見える、詐欺的要素が満載なのだ。臆面もなくよくまぁ言えるよ、書けるよなぁ・・・ということを、堂々と、平気で言えるし書ける。疑いや迷いを生じさせない為に、全てを力強く断定する。詐欺師とは元来、そういうものだ。
千住ひかるさんは恐らく、それまで売れっ子の占い師ではなかったと思う。詐欺師的な要素がないから売れなかったし、易々と騙されもしたのだと思う。

洗脳の手口・・・というよりは、騙しのテクニックと言って良いと思うのだが、非常に、心理学的にも理にかなった手法から始まっていた。
始めはハードルが高い。本当は芸能人しか観ないのだが、特別に安く、一般人を観てあげると紹介される。
昔、抱いていた夢の内容を当てられて、一気に信頼性が増す。一個でも当たれば、他のいくつもの当たらない事例があっても、全面的に信頼してしまう心理、必ず当たる内容の探し方については、「超常現象の科学」をどうぞ。
その後、ちょくちょくメールが来るようになる。お告げと称するメールの頻度が増える。メールが1日何通も来るようになり、そうして数ヶ月経って、自宅に上がり込み、共同生活が始まったという。この辺りも、「最初はドアをノックし、片足を入れ、両足を入れ、最後に身体を入れる」という心理的距離の接近法そのものだ。千住さんが段々ハマっていく様子が手に取るように分かる。
殆ど全て計算し尽くされた手段で、見事に千住さんから衣・食・住そして娯楽までも提供させる事に成功するのだが、ここでI氏はいくつかのミスを犯す。
これによって千住さんは疑問を抱くようになり、騙されている事に気付く。
I氏は恐らく、自分の犯したミスを学習し、次のターゲット・・・恐らくそれは中島知子さんなのだが・・・の時に活かそうとしたに違いない。いくつかのミスのうちの一つは、千住さんに旦那さんがいて、二人を騙していたということだ。ターゲットが複数の場合、どちらかが疑念を抱いた場合、話し合う機会があればふと冷静に戻ってしまうリスクが高い。だから次のターゲットは、独居人であるべきだ。


それにしても、I氏が人の心理に長けた嘘つきの詐欺師であったとしても、その目的の不可解さが、I氏の存在を、不気味なものにしている。
それは木嶋佳苗にしても同じ事だ。何が目的で殺したのか、いや、本人が否認している殺人はなかったとしても、何が目的でお金を騙し取ったのか、その目的の不可解さによって、彼女に対する共感を拒絶する。



いや~、我々普通の感覚の持ち主は、そういう訳の分からない「怪物」のような人間もいるということを学習して、それら若しくはそれらに近い怪物に遭遇したら、捕って食われないよう、避けなければいけないな、という教訓にしておくしかないか?

それでもやっぱり、私はこの不可解さを不可解のままにしておく事の気持ち悪さに耐えられず、もう暫く、二人をウォッチし続けるんだろうと思う。