<君が代起立斉唱>都教職員の敗訴確定…義務なし確認訴訟
毎日新聞 2月9日(木)20時41分配信
学校行事で日の丸に向かい起立して君が代を斉唱するよう義務づけた東京都教委の通達は違憲として、都立学校の教職員らが義務がないことの確認などを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(宮川光治裁判長)は9日、教職員側の上告を棄却した。教職員逆転敗訴の東京高裁判決(11年1月)が確定した。
起立斉唱の職務命令については最高裁が昨年、合憲判断を示しており、小法廷もこれに沿う判断をした。1審・東京地裁は通達を「教育基本法が禁じる不当な支配に当たり、憲法が認める思想・良心の自由を侵した」とし、通達に従わなかった教職員に対する処分の禁止などを命じた。これに対し2審は「憲法に反しない」と逆転敗訴としていた。
教職員側は、行政チェック機能の強化を図って04年に改正された行政事件訴訟法に基づき、将来見込まれる懲戒処分の差し止めも求めた。小法廷は「処分後では救済が困難である場合、事前の差し止め訴訟を起こせる」と初判断。今回の訴訟では「不起立を繰り返すと懲戒処分が累積加重され、事後的な回復が著しく困難になる」と訴えは適法と認めたが、請求自体は退けた。
桜井龍子裁判官は「個人の権利救済の実効性を高めることに重点を置いた。訴えは適法だが、職務命令違反の内容など個別事情を立証する必要がある」との補足意見を述べた。【石川淳一】
起立斉唱の職務命令については最高裁が昨年、合憲判断を示しており、小法廷もこれに沿う判断をした。1審・東京地裁は通達を「教育基本法が禁じる不当な支配に当たり、憲法が認める思想・良心の自由を侵した」とし、通達に従わなかった教職員に対する処分の禁止などを命じた。これに対し2審は「憲法に反しない」と逆転敗訴としていた。
教職員側は、行政チェック機能の強化を図って04年に改正された行政事件訴訟法に基づき、将来見込まれる懲戒処分の差し止めも求めた。小法廷は「処分後では救済が困難である場合、事前の差し止め訴訟を起こせる」と初判断。今回の訴訟では「不起立を繰り返すと懲戒処分が累積加重され、事後的な回復が著しく困難になる」と訴えは適法と認めたが、請求自体は退けた。
桜井龍子裁判官は「個人の権利救済の実効性を高めることに重点を置いた。訴えは適法だが、職務命令違反の内容など個別事情を立証する必要がある」との補足意見を述べた。【石川淳一】