私の師 関侊雲先生の師匠で、私の仏画の師である仏師 斉藤侊琳先生が2016年9月18日の晩、急逝されました。
突然の訃報を受け、
本日は、斉藤侊琳先生のことを偲びブログを書かせて頂きます。
斉藤侊琳先生のこれまでの功績は大きく、
私の知る限りではございますが、
15歳で井波彫刻の武部豊先生の元で修行を始められ、彫刻家、
その後、40歳を前に仏像に感銘を受け京都の松久朋琳先生、
宗教芸術院北陸及び支部長及び仏像教室講師として指名され、
昭和55年朋琳、宗琳先生より侊琳の仏師号を賜ります。
中曽根康弘元総理大臣に聖観音像を納入。
高徳院へ仁王像1丈(3メートル)を納入。
2007年天皇陛下より紺綬褒章を受章されました。
まだまだ書ききれない程の功績があり、生前作られた作品は1000体にのぼるとお聞きしました。
斉藤侊琳先生の数ある作品の中からいくつかご紹介させていただきます。
「武内宿禰」
こちらは武内宿禰が後の応神天皇を腕に抱かれている作品です。応神天皇への愛情を武内宿禰の繊細な表情から感じられる作品です。特に目から滲み出る愛情を帯びた眼差しがなんともいえません。やさしく赤子を抱く腕のしなやかさ、指先に神経が通い、髭が動きそうな臨場感は何度拝見しても鳥肌が立ちます。表面はたたき仕上げを効かせ力強さを感じます。表面をきれいに仕上げるよりたたき仕上げの方が難しいと言われることもあるくらい、高い技術で制作されています。
【子安観音】
子供の成長をやさしく見守る観音様の慈悲深さが印象的な掛け軸の作品です。そっと手から差し伸べる衣で子供をあやす姿はやさしさで満ち溢れています。立ち姿は座っている姿よりバランスを取るのが難しいものですが、先生の描かれる立ち姿はしなやかなバランスで描かれており美しく神々しいです。彩色は落ち着いた色で統一されながら、舞う花びらがアクセントとなり華やかさを演出されております。
絵のいたるところに載金がほどこされており、重厚な仏画となっております。
すばらしい作品を多く残され、多くの方々を魅了してやまない先生の技術はこれから何百年、何千年経っても色あせることなく世界中から賞賛される事と思います。
少し斉藤侊琳先生との思い出をお話させていただきたいと思います。
私は関侊雲先生のお計らいにより、
今まで、ああすれば良かったと後悔した事はありませんでしたが、
後悔してからでは遅いのだと、痛感いたしました。
斉藤先生は仏画を描いた事のない私に一から技術を着けて下さり、
ごまかしや曲がったことがお嫌いで、何かを見透かされたような気持ちになる事もありました。
斉藤先生がお若い頃はもっと語気が荒々しく厳しいご指導ったと関先生からお聞きしており
仏画の下絵制作をしていた時の事です、
実物を良く観察しなさいというのが先生の口癖で、
また、先生は今でもああすればよかったと毎回作品に反省点がある。満足したらそこで終わりになるから毎回反省しなさい、と言っていただいたのをよく覚えています。
自分に厳しく作品に厳しく、がんばりなさいと言っていただいたこの先生の言葉を一生大切に己を律して精進してきたいと思います。
またある時、どんな方にも謙虚な姿勢を持たれ、工房にいらした方には「お茶飲んでかれ」と気さくに誰でも上げられていたのが印象的でした。
また、弟子の私たちのも冬にはストーブでかき餅を焼いて食べさせて下さり、やさしい先生が思い出されます。
先生の御側で技術をご指導いただき、作品への厳しさ、謙虚な心を大切にするお姿を学ばせて頂いた時間は大切な宝物です。
まだまだ先生の足元にも及びませんが、精進を重ね諦めることなく先生のような彫刻師・仏画師を目指し励んでまいります。
いつの日か、先生から頂いた教えを引き継いでいけるよう頑張りますので、見守っていて下さい。
斉藤侊琳先生、本当にありがとうございました。
合掌



































