どうも、かもたです。

このブログのように専門知識を一般向けに噛み砕いて説明することを”アウトリーチ活動”と言うらしく、研究者が自身の研究を社会に還元する大事な活動であると偶然知りました。

意図せず立派な活動をしていたようです。

 

今日は久しぶりに薬学のお話を、少しかっこいいタイトルとともにお届け。

 

前回までの記事では、「多くの菌に効くエリート抗生物質は、逆に多くの菌が耐性を獲得して効かなくなってしまうよ」ということをお話しました。

 

そういったエリート抗生物質が徐々に使えなくなってきている問題は30年以上前からあったのですが、そこで人間側が切り札として使っていたのが”カルバペネム系”と呼ばれる抗菌薬です。

 

カルバペネム系抗菌薬はもともとそこまで強い抗菌薬ではなかったのですが、ライバルチーム(=細菌たち)が一軍の主力選手への対抗策を徹底してきたので、ダークホース的な存在として二軍から引っ張り上げられてきた薬です。

 

敵チームがノーマークだったカルバペネム君は、”最後の砦”として細菌との戦いに投入されていくわけですが、やはりそれまでの抗菌薬と同じように、カルバペネム君の効かない耐性菌も出現してしまうわけで…

 

ちなみにこれまでの耐性菌に対しては、それを止める薬(阻害剤)がありました。

「阻害剤=抗菌薬を分解する耐性菌の働きを抑える薬」です。ややこしいですね、すいません、頑張ってください。

 

ただ、”カルバペネムが効かない耐性菌を止める薬”は、まだ完成していないのです!

 

こういった細菌感染症の問題は、衛生環境の良くない途上国のものだと思いがちですが、実はカルバペネム耐性菌は国内でも問題になったことがあるのです。

日本の薬剤耐性菌の状況 医療現場での耐性菌増加 かしこく治して、明日につなぐ ~抗菌薬を上手に使ってAMR対策~

 

”カルバペネムが効かない耐性菌を止める薬”の研究は多くのグループが行っています。

日本ではMeiji Seikaファルマの開発した薬が臨床試験まで進んでいるみたいです。

【Meiji Seika ファルマ/フェドラ】新規抗菌薬「ナキュバクタム」、合弁会社を通じて開発

 

今の世の中は新型コロナウイルスの話題が中心ですが、細菌感染症にも注意していきたいですね!

じゃあ、また!

 

P.S.

このブログの存在が研究室メンバーに知られました(笑)

もともと隠しているつもりもなかったのだけど、恥ずかしいね!!