韓国の釜山で開催された20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は5日、「世界経済
は予想されていたよりも速いペースで回復を続けている」などとする声明を発表、深刻な財政問題を抱える国には健全化の加速を求めた。
注目を集めていた銀行課税導入についての決定はなかった。
日本は財政再建と経済成長の両立に取り組む決意を表明した。
<トロントG20で菅新首相が中期財政フレームについて報告>
6月26─27日にトロントで予定されているG20首脳会議の準備会合として位置づけられる今回会合の声明では、G20は欧州連合(EU)、欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)による「断固たる措置」を歓迎しつつ、深刻な財政問題を抱える国には健全化加速を、成長が可能な国にはその拡大を求めた。
財政健全化についてストロスカーンIMF専務理事は、ギリシャは成長に悪影響があっても財政健全化を強力に進める必要があると厳しい注文をつけた。
また、レーン欧州委員(経済・通貨問題)委員は、ハンガリーが債務不履行(デフォルト)に陥るとの観測について「極めて誇張されている」と述べるなど、欧州の金融経済状況への懸念払しょくに努めた。
一方、成長拡大については、ガイトナー米財務長官がG20にあてた書簡で、中国、ドイツ、日本を名指しして内需拡大を求めた。
こうした議論を受け、峰崎直樹財務副大臣は同会合後の会見で、日本が財政再建と経済成長という政策の両立に取り組む決意を表明。さらに同副大臣は、6月26─27日にトロントで開かれる予定のG20首脳会議で、菅直人新首相が中期財政フレームについて報告すると言明した。時間が限られるなか、日本は難しいかじ取りを迫られる形となった。
白川方明日銀
総裁も会合後の会見で「日銀は極めて緩和的な金融政策を維持することで内需の拡大に努めている」と強調したが、今後、政府からさらなるデフレ脱却・景気浮揚措置を求められる可能性もありそうだ。
<白川総裁、銀行課税での議論の収れんを評価>
声明では、ヘッジファンド、信用格付会社、報酬慣行、店頭デリバティブの透明性や、規制・監督を国際的に整合的かつ無差別な方法で改善する措置の実施を加速することも打ち出した。しかし、世界的な銀行税導入についての決定はなく、銀行資本に関する新たな規制や、実施時期の変更についても合意はなかった。
銀行課税には、今回の金融危機 で公的資金による銀行救済を行わなかった日本、カナダ、ブラジルが反対したという。国際決済銀行(BIS)の新たな銀行自己資本規制「バーゼルIII」の2012年末までの実施予定にも変更はなかった。
韓国の尹増鉉(ユン・ジュンヒョン)企画財政相は、今回会合で議論を長引かせる原因となった主要トピックの1つだった銀行税問題について「11月の首脳会議までに詳細がまとまることを期待している」と述べた。
白川総裁は金融規制について、世界経済 の回復を阻害しないこと、規制の実施にあたっては十分な移行期間と適切な経過措置が必要なことなど、持論を展開。銀行課税については「違いがあることを明確に認識し、原則を立てていくという点において、議論の収れんがあった」と一定の評価を示した。
<人民元は依然として過小評価との声も>
為替動向については声明での言及はなかったが、各国からはユーロ、人民元について活発な発言があった。
トリシェECB総裁は会見で、ユーロは信頼に足る通貨と強調し、ユーロへの懸念の払しょくに努めた。一方、峰崎副大臣はユーロ安について「短期的には日本の輸出にとってマイナス」、「円が高くなると株価が下がるという傾向がある」などと述べ、懸念を表明した。
ガイトナー米財務長官はG20にあてた書簡の中で「米国は貯蓄増を目指す必要があるが、それは同時に、日本や欧州の黒字国の内需の伸び拡大、民間需要の成長継続、中国のより柔軟な為替政策によって補完されなければならない」と人民元に言及。ストロスカーンIMF専務理事も、人民元は依然としてかなり過小評価されていると指摘した。
(ロイター)