『幸福な朝食』


えだは-幸せな朝食

(乃南アサ:新潮文庫)


『凍える牙』で直木賞を獲った乃南アサのデビュー作。

で、彼女の以降のキャリアを否定するみたいで恐縮だけど、

直木賞受賞作よりこっちの方が好きですね。


物語中で起きる「出来事」を追うのではなく、

一人の人生を追っているという感触。

人一人を知ったという深い手触りがあって、

読み終わった後もその人が、一人の知人として

自分の中に生きている気がする。


こういう読語感になる小説は極めて稀。

相性の問題もあるんだろうけど、最近読んだ中では抜群に好きですね。





『夜離れ』 


えだは-夜離れ
(乃南アサ:実業之日本社)


図書館で置いてるハードカバーの本は情報が少な過ぎだよ。

ハッピーな本が読みたかったのに、

出てくる女性出てくる女性みんな頭おかしいガーン


男が婚約者の友人を紹介してもらったら、

その日からその友人が失語症になって、

ようやく治ったと思ったら結婚式のスピーチで

新婦が男と遊び回って堕胎してたことを暴露する話だとか、ガーン


髪の毛が自慢のOLが、

自分より髪の毛がキレイになった同僚の

髪の毛を燃やす話だとか、カゼ


新しい男との海外旅行と祖父の死が重なって、

昔の男を騙して日本に帰って来るまで祖父の遺体を

法医学研の冷蔵庫に保管させる話だとか。ショック!


「心温まる話が読みたいのに…えぐっ、えぐっ」って泣きながら読んだ。




『ヴァンサンカンまでに』

えだは-ヴァンサンカン


(乃南アサ:文春文庫)


自分の魅力の使い方を熟知し、

入社1年目にして上司と不倫しながら

将来の結婚相手の保険として

若手の有望な新人も恋人として確保しているという

今だと「猛禽類」と呼ばれる種の女性が主人公。


状況を自律的にすべてコントロール下に置いている彼女。

しかし自分の気持ちだけはコントロールできない。

コントロールできているということは

それは本当には相手を好きになれていないということと同義だから。


表面的には何も問題ないのに

内心でずっと渦巻いている苛立ちと孤独感。

そんな24歳の心情が浮き彫りになる。


結末らしい結末がない終わり方だけに、

『幸福な朝食』以上に、ヒロインのその後の人生が

心の隅にひっかかる。


果たして彼女は我を忘れるような恋愛ができるのか。


それとも絶望のままに「幸せな結婚」をするのか----。




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