AKB48伝説 in 2009 | AKB48 LIFE

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アイドルグループなしの人生なんて...退屈である。

リクエストアワーセットリストベスト100とは?
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AKBの通常公演他とは違い、毎年1回1月に定期的に行われているファン投票で順位が決まるリクエスト曲公演。ファンにとっては超絶人気公演。100曲を下位の順位から公演(1公演25曲)するので4日間に分けて公演します。

AKBに100曲もあるのかって?ええ十分ありやす。たぶんAKB(SKE,NMB,ユニットを含む)には400曲以上の曲があります。あまりにも数が多いので、細かい数はわかりませんが。なんと、歌詞はほぼ全て、秋元康が書いています。ほんとうの天才の才能は涸渇しないのです。

2008年から行われ、来年で5回目を迎えます。その人気公演の中でもいまだにファンの中で「伝説の公演」と語り次がれているのが「2009年度のリクエストアワーセットリストベスト100」。

2008~2009年度のAKB
この頃は地上波のTV番組も始まり、人気メンバーも単品でテレビ等に出演するようになったりしてました。またAKBの姉妹団体としてSKEも設立し「大声ダイヤモンド」をはじめとする曲がオリコン上位にランクインするようになっていました。さらに、紆余曲折もありましたがレコード会社も大手のキングレコードに移りプロモーションも万全の体制になってきていました。

しかし、前年「秋葉原枠」で出場した年末の紅白歌合戦出場を逃し、まだまだ世間はAKBを一部のヲタクファンによるものだという認知が大きかったことも確かでした(NHK、まだまだ見る目がなかったねぇ)。

2009年には「第1回選抜総選挙」、日本武道館でのコンサート、海外公演、そしてオリコンチャートで1位を取るようになっていきます。今思えば、AKBにとってこの2008年~2009年時期の伸びしろが一番大きかった気がします。

伝説の2009AX
そんな「国民的アイドル」と名実ともに呼ばれるチョイ前の2009年初頭に第二回のリクエストアワーセットリストベスト100が開催されました。

ランキング上位の曲はやはりメジャーシングル曲(それも最新の曲)が占めていきます。

たぶん1位の曲はその年に最もヒットし、秋元康が「ダイヤの原石」と評したSKEの松井珠理奈をセンターに大抜擢したインパクトのある「大声ダイヤモンド」だろうと誰しもが思っていた...はず(そこに集まったファン以外は)。

チームBの「初日」が1位
しかし、大どんでん返しの1位はチームBの「初日」。このタイトルコールがあったとき、舞台にいるメンバーはみな目が点。だけど、集まったファンは熱狂の渦。そう、なぜ?このシングル曲でもない、チームBというチームだけのことを歌ったマイナーともいえる歌が1位に選ばれたのか?

チームB(初期)とは?
2006年ごろからAKBは人気とともにオーディションを増やし、入ってくるメンバーも増えていきました。しかし、新しく入会してくるメンバー達はじめから所属しているメンバーに比べれば、その歌やダンス等の実力差は歴然。また、人数の多数化によりA.K.Bという風に入所順にメンバーを振り分けていきました。

最後に出来たチームBは新人ばかりの末っ子グループでまだまだ質も高くありませんが、公演はすぐにでもやらなきゃならない。また厳しいレッスンで合格した娘たちがどんどんやめていき、AやKと同じ人数を確保するのが難しい状態で一部の初期メンバーがBに移っていかなければならないという状態。

この2007~8年ごろには世間一般の認知はまだまだでしたが、アイドルファンの中では人気で、秋葉原のAKB劇場は毎回、ほぼ満員でした。(たぶん、このころ一度、並んだ記憶があります。たしか、整理券を朝早く並んで取ればその日のどこかの会には入れた気がします)

(他にもかなりの紆余曲折の物語があるのですが、長くなるので割愛)

でも、AやKと違い、なかなか満足な公演を披露することもできない(公演今日もAやKのおさがり)。そして、続々と新たなAKBオーディンで合格した研究生と呼ばれる新人が入ってくる。

AやKの先輩達に追いつくどころか、新たに入ってきた後輩にも抜かれてしまうのでは?という恐怖をその当時のチームBは毎日、味わっていたようでした。アイドルの象徴のような柏木由紀でさえ、当時のもがき苦しみをよくインタビューで答えています。

(新しく入ってきたコたちも苦労したろうが、一期メンバーでBに移動させられ、リーダーとして幼いBのメンバー達をひっぱていた、シンディ(現SDN浦野一美)が一番苦労したんだろうなぁ。シンディのこともっと評価してほしいです)

初めて手に入れた自分達の曲
そんな試行錯誤が続くチームBに初めてチームのオリジナル曲が届く。その曲名は「初日」。曲の内容は可愛い女の子の思いでもないし、切ないバラードでもない、当然、アイドルらしい恋の歌でもない。

歌詞は全て、チームBメンバー個々のデビューしてからの苦悩の日日を綴ったもの。いやチームBだけではなく、アイドルとしてAKBを選んだ少女達のけっして表に出ることはない全メンバーの心の葛藤を歌ったものでした。たぶん、これほどアイドルの裏の日常努力だけを直球に歌った歌はないでしょう。

AKBのファンの心を打つ曲
この歌はメジャーシングルとして発売されるているわけでもないし、正直、チームBメンバーによる公演以外はあまり聞くことはできません。それにBは先輩であり多くの人気メンバーがいるAやKに比べればチームとしての人気だけでなく、個々のメンバーの人気も大きな差がありました。

それでも、Bでの公演で聴いたり、AKBファンの間で「神曲」として噂になり、次第に人気曲となっていきます。同時にチームBはAやKとは違うチームB独自の魅力を徐々に引き出せるようになっていきました。また、AKBに対してキワモノ目線で見ていた人もこの歌を聞き、AKBが今までのアイドルとどこか違うと感じ、ファンになった人も多いようです。

AKBのコアなファンになればなるほどチームBのひたむきさに引かれていってるようでした(AKBの中で熱狂的人気度のNo.1はたぶんチームBでしょう)。

そしてドラマは結実する
そして、AKBファンが直接選ぶ、2009年のもっと好きな曲1位がチームBの「初日」となる。選ばれたチームBだけではなく、全AKBのメンバーそして、運営スタッフ、なによりも詩を書いた秋元康自身もビックリだったでしょう。

運営側が、仕掛けても仕掛け切れない、ほどのリアル。アングルの中に神が与えし、ガチが誕生した瞬間でした。このとき、「ファンはアイドルを選ぶだけじゃなく、作りもする」ということが証明されました。

AKBヲタクの自己満足と思われがちですが、これ以降もこの「初日」はAKBの中でも人気の高い曲として定着していきます。

ほんと、AKBのファンは「粋」なことをやってくれました。AKBの人気はAKBメンバーのひたむきさ、それを支える裏方スタッフの愛情天才・秋元康の企画力ファンの優しさ。この4つが絶妙なバランスで成り立っているのでしょう。

スタッフの愛
1位に選ばれて、涙を流しながらも、笑顔でいつも以上に元気よく踊り歌うチームBメンバー。その頬につたう涙の美しさたるや...涙なしにこの映像は見られません。また、このときのカメラワークが最高です。怪我で出れないメンバーも舞台袖からキチンと抑えているし、その舞台袖に向って笑顔を送るメンバーもちゃんと抜いている。

AKBのスタッフはAKBを心から愛してるのがよく伝わります。TVの音楽番組の人気メンバーだけとりあえず抜いとけ的なカメラワークと違い、彼女達の個々の魅力がどこにあるのか?ちゃんと把握してカメラに抑えてくれます。

アイドルの神が降りた瞬間
そして、この日が最後の、この初期の末っ子チームB(この後、全チームを解体し、チーム同士でメンバー移動)で歌うときでもありました。まさに、最後の最後で神が降りた瞬間。

このころから、今のAKB驀進街道は始まった
もしかしたら、この結果を受けて、秋元康は「第1回選抜総選挙」をやる迷いが吹っ切れたのではないでしょうか?もうAKBというアイドル集団は自分の手のひらじゃ乗せられことはできない大きなものになっているのだと思い、今後もファンに全てを委ねることを決めたのではないでしょうか。アングル→ガチへの以降でもあります。

そして2009年、「第1回選抜総選挙」が始まり、AKBは「BIGINNER]でオリコン1位を獲得します。この2009年のリクエストアワーセットリストベスト100こそ、今の爆発的なAKB人気の序章のはじまりだと勝手に思っています。