2012.7.9
 
 この日、CT画像を見ながら医師の説明がありました。
 浮腫はさらに改善されてきている、とのことでした。
 
 ただ、熱が38度~39度と高く、検査の結果、尿路感染症の疑いがある、とのことでした。
 しゅんすけのおしっこを培養したところ、薬剤耐性のある『緑膿菌』が検出されたそうです。
 この菌は普通の抗生物質がなかなか効かないやっかいな菌なので、より強い抗生物質で治療する
 ことになりました。
 
 説明を一通り終えた時、医師の方から「何か質問はありますか?」ときかれました。
 私は勇気を出して、一番きになっていることを質問しました。
 
 「後遺症は、どの程度のものを想定しておけば良いですか?」
 
 しゅんすけが入院して、脳に影響を受け始めた時から、後遺症はある程度覚悟はしていました。
 皮肉にも出産時の経験から、脳に損傷を受けるということがどれだけ大変な事か、私は身をもって知って
 いました。
 
 「・・・脳症は本当に厄介な病気で・・・またムンプスウィルスも、インフルエンザのように特効薬がある
 わけではないので・・・」
 
 主治医の先生は、しゅんすけのケースが特異であることを前置きした上で、後遺症について話し始め
 ました。
 
 「後遺症に関してはお子さんによっていろいろなので、一概には言えませんが、何もないということは
  難しいと思います。中には奇跡的に立って退院されるお子さんもいらっしゃいますが、車椅子になっ
  て言葉を失ってしまう方もいます。寝たきり、ということも想定しておいて下さい。」
 
 医師の話し方から、『寝たきり』という可能性が一番高いような印象を私は受けました。
 
 充分心の準備をしていたはずなのに、『寝たきり』という言葉に少なからず衝撃を受けました。
 
 頭ではわかっていても、心がそれを受け入れようとしていませんでした・・・。