お昼ごろまでにはしゅんすけを搬送したい、とのことだった。
 説明の後、しゅんすけに面会した。手を何度も洗い、消毒してからの面会だった。
 
 保育器に入ったしゅんすけの小さな身体には、たくさんの管がつながれていた。
 「かわいそう」なんて思いたくなかった。
 
 たいしたことではない。ちょっと大げさなだけだ。
 しゅんすけはきっと大丈夫。だから、泣くものか。
 
 そう思っていた。
 
 「こらぁー、しゅんすけー。お母さん、ヒマになっちゃうじゃないかー。」
 保育器の中に手を入れて、しゅんすけの身体をつついた。
 看護士さんが笑っていた。
 
 笑顔で冗談まじりにしゅんすけと接する私を見て、別の看護士さんが、
 「お母さん、大丈夫?」
 と声をかけてくれた。
 今にも泣き崩れそうだったが、グッとこらえて、笑顔で答えた。
 
 「はい。大丈夫です。」
 涙が溢れそうになった。
 「お母さん、強い!」
 と看護士さん。
 GCUにあるたくさんの機械をものめずらしそうにながめるフリをして、顔をそむけた。
 
 まもなくして、しゅんすけの転院先が決まった。
 ここから電車を乗り継いで1時間もかかるところだった。
 近所の病院のNICUはどこもベッドがいっぱいだったそうだ。
 
 搬送される直前まで、しゅんすけの身体に触れていた。
 救急車には、医師と看護士の他に、主人が同乗することになった。
 
 病院の出口まで降りて行き、しゅんすけの乗った救急車を見送った。
 
 付き添っていた看護士さんが、私に声をかけてくれた。
 「ちょっとさびしいけど、今はお母さんができることを頑張ろう!しっかり母乳しぼって、しゅんすけくんに届け
 ないとね!」
 
 「はい。」
 私の声は少し震えていた。