第103回G1凱旋門賞が6日に発走

 海外競馬のG1第103回凱旋門賞(芝2400メートル)は現地6日にフランスのパリロンシャン競馬場で発走となる。日本調教馬として日本ダービー3着のシンエンペラー(牡3・矢作、父シユーニ)の挑戦に注目が集まる一方で、55歳の大ベテラン・武豊騎手が海外馬のアルリファー(牡4・J・オブライエン)に騎乗。英紙は11度目の同レース挑戦で悲願の初制覇を狙う競馬界のレジェンドを特集。「世界一の富豪ジョッキー」「日曜日にパリで勝利を収めることだけを望んでいる」などと紹介している。

 機は熟した。これまで1994年のホワイトマズルでの初挑戦以来、10度の騎乗機会がありながら最高は3着。武は世界最高峰G1の高い壁に跳ね返されてきた。日本調教馬初の優勝のチャンスと言われた2006年のディープインパクトも3位入線後、まさかの失格処分。2年前にはダービー馬・ドウデュースで挑戦したが道悪にも泣かされて19着と大敗。今回は、そのドウデュースのオーナー、松島正昭氏の海外所有馬・アルリファーに騎乗する。

 日本人騎手初の凱旋門賞制覇を狙う武騎手について、英紙「ザ・サン」は「凱旋門賞:おそらくあなた方は名前を聞いたことがない、この大きなレースで勝利を収めるために戻ってきた、世界一の富豪ジョッキーを知ろう」との見出しで特集記事を掲載。本文では「55歳のベテラン日本人騎手は、その輝かしいキャリアで約7億ポンド(約1345億円)の賞金を稼いだといわれている。お金が目的ではないとはいえ、日本で『神のよう』だと評されるこの男は、日曜日のパリで勝利を収めることだけを望んでいる」と獲得賞金額の多さを紹介している。

 武騎手の知名度は海外でも高い。それでも同紙は「今までに数回挑戦したことがあるにもかかわらず、タケはフランスで最も権威のあるレースで勝利していない。しかし今週末、彼は勝利し、凱旋門賞を制した初めての日本人騎手になることを望んでいる」「彼は一貫して日本最高の騎手だが、その一方でヨーロッパではそれほどまでの成功を収めていない。彼の英国での最大の勝利は、アグネスワールドに騎乗しジュライカップを制した、2000年まで遡る」など、知名度ほどの実績がないことにも触れている。

 同紙は日本競馬の専門家である、ジェーン・ジョージさんが英紙「ザ・ガーディアン」に対し「彼はあっちではほぼ神様よ。まるでポップスターのようで、リョウコ・サノと結婚してから、彼らはゴールデンカップルのようだわ」と語ったコメントも紹介。現在も競馬界のトップランナーとして走り続ける武騎手の悲願成就の瞬間を、海外も待ちわびている。

 凱旋門賞の枠順が3日に決まり、前走G1ベルリン大賞を5馬身差で圧勝したアルリファーは9番ゲートに決定。シンエンペラーは11番ゲートからの発走となる。