今月のCloud9のフェアでご用意させていただいている「シノア・ダイキリ」ですが、私のカクテルに対する考え方を変えるきっかけになった、ドイツのバーテンダーさんが作って下さったカクテルのツイストカクテルなのです。

今から遡る事7年前の夏、初めてドイツに旅行しました。当時ドイツといえば、いろんな種類のビールとライン川沿いにある白ワイン、そしてウンダーベルクくらいしか知識にありませんでした。
私自身もバーテンダー協会や、カクテルコンペティションなどには参加してなかったので現地のコネクションは皆無でした。

到着して現地を一通り観光して、ホテルにチェックインし、何気なく入った併設のBarのカウンターに腰掛けてカクテルをオーダーしました。そのBarにはスタンダードカクテルのメニューが無く、当時あまり目にしないスタイルのカクテルだけがメニューに載っていました。その頃私はお店で「スタンダードカクテルをいかに美味しく作るか」というテーマ(今もこのあたりはブレていない)でやってましたので、新しいスタイルのカクテルに対して少々懐疑的でした。

メニューを渡され、本当はソルクバーノを飲みたかったのですが、その女性バーテンダーさんは笑顔で「ラムベースだったらこのカクテルがおすすめですよ」と薦めてくれました。名前は「ローズマリースマッシュ」というオリジナルカクテルで、スターアニスをインフュージョンしたハバナクラブ7年をベースに、オレンジマーマレードとライムジュースと少々の砂糖を加えシェイクし、ガーニッシュで炙ったローズマリーを添えたロングカクテルでした。あまり気乗りしませんでしたが、彼女の自信に満ちた笑顔に押されオーダーしました。

出てきたカクテルを一口飲んで衝撃を覚えました!

「フレッシュな素材が活かされ、なおかつベーススピリッツの味がよく感じられ全ての味のバランスがとれている!それに何て香りの良いカクテルなんだろう!」

その後、私のカクテルに対する考え方は変わり、お客様に「作るカクテルのゾーンが広くなったね!美味しいよ!」等とお褒めの言葉をいただけたのです。

私の固定概念を良い意味で壊してくれた彼女には感謝しており、夏が来る度にあのカクテルの事を思い出すのです。そんな彼女に敬意を表し、ツイストカクテル「シノア・ダイキリ」を今月はご用意させていただきました。