日本銀行(以下、日銀)がマイナス金利政策を解除して数カ月が経過しました。一部の銀行で住宅ローンの基準金利を引き上げる例が出始め、預金金利も引き上げが相次いでいます。物価高などを背景に日銀が追加利上げをする可能性があるなか、個人はどんな点に目配りをして家計管理をすればいいのでしょうか?また、これから不動産購入をする際にどのような点に気を付けた方が良いのかを解説したいと思います。

■不動産価格も上昇し、金利も上がったら不動産購入どころではない?!

不動産価格も上昇し、金利も上がったら不動産購入どころではないと考える方も多いかと思います。2つの上昇により、総支払額も大きくなり、以前より、住宅購入の際の負担が大きくなっています。現在、3メガバンクはマイナス金利解除後も基準金利を据え置く一方で楽天銀は引き上げを決め、住信SBIネット銀も基準金利の目安となる短期プライムレート(短プラ)の引き上げを発表しました。そのような金利上昇時に毎月の負担を軽減するためには、元金の一部を前倒しで返す方法で、将来の利息負担を減らすことができたりします。

■これから不動産購入をされる方へのご提案!

住宅ローンは大きく分けて、半年ごとに金利を見直す変動型と、借りたあとは金利が変わらない固定型の2種類があります。変動型は基本的に短期金利、固定型は長期金利と連動しています。金利上昇の影響を受けるのは新規に住宅ローンを借りるか、すでに変動型を借りている世帯となります。特に変動型は金利変動で返済中の負担が左右されるため、金利見直しや返済額の変更ルールを把握しておく必要があります。固定金利で住宅ローンを借りようと検討されている方は、このような金利上昇リスクを不安視する必要はありません。

変動型では各銀行が短期金利に一定幅を上乗せした基準金利を決め、個人の信用力に応じた優遇幅を差し引いて適用金利とするのが一般的となっています。注意が必要なのが、基準金利の目安とする短期金利が銀行で違うことと3メガバンクや住信SBIなど多くの銀行は短プラを目安とするのに対し、楽天銀は東京銀行間取引金利(TIBOR)、ソニー銀はスワップ金利というものを活用しています。

短プラは優良企業向けの貸出金利で、各銀行が独自に水準を決める。TIBORやスワップ金利は銀行間で資金をやり取りする際の市場金利で、金融政策の変更の影響を短プラに比べ受けやすい面もあります。しかし、いずれも各銀行は資金調達・営業コストや収益、金融情勢などを踏まえて決めるとしています。目安とする金利の動向だけで基準金利が決まるわけではないことも頭に入れておく必要があります。

■月返済額の変更は各金融機関によってルールが異なる!

金利を見直す基準日と見直しを毎月の返済額に反映する時期も銀行で異なる場合があります。例えば三井住友銀は4月1日と10月1日時点で適用金利を決め、4月は7月分の返済から、10月は1月分から反映するという運用をされています。ソニー銀行は5月1日と11月1日が基準日で、それぞれ7月分と1月分からが対象となります。

三井住友銀は月返済額の変更を原則5年ごとにする「5年ルール」を導入しており、すぐに月返済額が増えるとは限りません。増額幅を25%までとする「125%ルール」もあり、負担が急増することは避けられるようです。ソニー銀行やSBI新生銀は5年・125%ルールを設けていませんので、これから住宅ローンを借りる際にこの点のチェックも忘れないようにお願いします。

変動型の利用者は自分の契約条件を確認することが重要です。万が一、大幅な金利上昇の影響を受ける際には繰り上げ返済の資金を持っていると不安を取り除くことができる可能性が高まります。

また、預金金利が上がったとはいえ、利率はまだ低水準となっています。100万円を5年定期、0.5%で預けても利息は年5000円にとどまっています。いざという時の繰り上げ資金の準備にはなりそうもありませんので、現金は投資等での運用を検討されても良いのかもしれません。

■不動産購入時に、予算ギリギリでの判断は気を付けましょう!

「夢のマイホーム」を手に入れ、一定期間が過ぎた頃に毎月の返済上昇、モノの値段があがるインフレ状態となれば、毎月のやり繰りが厳しくなる時代です。また、老後の生活費などは長期の運用を計画する時代となっています。つまり、不動産購入時には将来の「お金」の事を考える重要なタイミングである事を忘れないで欲しいと思います。

不動産、住宅をご購入される場合、土地・建物の価格のほかにも「諸費用」と「税金」が必要です。諸費用と税金は、新築物件で物件価格の3~7%、中古物件で6~10%かかるといわれています。3,000万円で中古物件をご購入した場合、諸費用と税金が180~300万円ほど必要になります。不動産、住宅をご購入される際には、無理のない資金計画を立てることが大切です。

 

 

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