人口減少時代を象徴するようなショッキングなニュースが流れました。
「日本人83万人減、過去最大 総人口は13年連続マイナス」共同通信
度々これからの住宅購入は、私たちの親世代とは考え方が全く違うことを主張してきましたが、認識を大幅にアップデートしないと将来大変なことになりそうです。

■令和時代の住宅購入は「いつでもやり直せる」が前提

人口減少問題を深堀する前に、本記事における考え方についてご説明します。
これまでも様々なテーマで記事を書きましたが、根底にあるのは「いつでもやり直せる」住宅購入です。
私たちの親世代が住宅購入した時期は新築偏重の時代で、一度住宅購入をしてしまうと、ローンの返済スピードと資産目減りのスピードがバランスせず、売ると借金が残ってしまうため、住宅ローンに縛られる人生などと揶揄されたこともありました。
容易に売却するという選択が取れないため、合わない職場環境でも無理して働き続けなくてはならなかったり、突然の事故や病気で大きく人生が狂ってしまうケースも見られました。
また、高齢期で住宅資産を上手く現金化できれば、高齢期に快適に過ごす選択肢が増えるのですが、建物の価値が経年によってほとんどなくなるのはある程度納得できるものの、土地の値段も購入時よりも下がっているエリアもあるので、購入した金額と比較し、また、これまで苦労して住宅ローンを返済してきた日々を思い返すと、感情的な理由から現状維持という選択をするケースが多く、結果的に相続が発生するまで現金化されない資産になっています。
終身雇用も崩壊し、どのような状況が発生しても、フレキシブルに対応できる環境こそがこれからの時代を生き抜く上で必要となるもので、一度買ったら取り返しがつかない、ではなく、売却したらスタートに戻れる買い方が必要だと考えます。

■転がるように人口が失われる

それでは本題に入ります。
まずは問題のニュースをご覧ください。

日本人83万人減、過去最大 総人口は13年連続マイナス

※リンクはyahooニュースのものですが、もし記事が閲覧できない場合は、記事タイトルで検索すると他のサイトでご覧いただけると思います。

83万人減と言われてもピンと来ないかもしれません。
佐賀県の総人口が80万1千人なので、佐賀県が丸ごと失われたと書くとイメージが付きやすいかもしれません。
同じく堺市も似たような数字なので、全国で15番目に人口が多い堺市が丸ごと失われたでもイメージしやすいかもしれません。

記事をご覧いただければ記載されていますが、日本人が83万人亡くなったのではなく、死亡数から出生数を引いた数字が83万人となるので、1年間でかなりの日本人が失われたという結果になります。

日本の「多死時代」は今後も継続される見通しで、ご存じのように未曾有の少子化の危機となりますので、まさに坂を転げ落ちるかのように人口減少が進んでいく状況です。

政府の少子化対策が話題になっていますが、現在の状況はこれまでの30年間の結果でしかないので、仮に現時点で空前のベビーブームが発生したとしても、向こう20年~30年は人口が減り続ける、縮小する社会を過ごさなくてはなりません。

■平均世帯人数も減っていく

もう一つ注目のニュースです。

2033年の平均世帯人数は「1.99人」初めて2人を割り込む 5年に一度の将来推計 厚労省

厚生労働省の発表によると、1世帯あたりの人数は、2020年の「2.21人」から減り続けて、2033年には「1.99人」になるという推計です。
特に注目なのが、単独世帯の増加が顕著で、2050年には44.3%になるという推計です。

2050年というと今から26年後になりますが、そんな先のことはその時考えれば良いというご意見の方は、考え方を変えた方が良いと思います。
まさにそのような判断で問題を先送りにしてきた結果が今の人口減少社会であり、多くの方は最長35年の長期の住宅ローンを組んで家を購入される訳で、とりわけ26年後というのは、子育てがひと段落し、高齢期に向けて資金化を検討する時期になります。
他人事ではありません。

このニュースが示す恐ろしい現実は、子育てのためのマイホームを必要とする人が減り続けるということです。
反対に高齢単身者向けの住宅ニーズは増え続けるということです。
子供が増えないどころか、結婚しないという選択をする人も増えているようです。
つまり、3LDK~4LDKのいわゆるファミリータイプと言われる住宅を必要とする人が益々減り続けるということであり、将来資金化しなければならない時期に売るのに困る状況が容易に想定されます。

■将来の予測を甘く見積もってはいけません

極端な少子高齢化も、急激な人口減少も、世帯人数の減少も、どれもこれまで経験のない現象であり、これから顕在化する社会問題は、日本人が初めて遭遇するものとなります。
冒頭にも記載した通り、令和時代の住宅購入は「いつでも売れる」が前提です。
もちろん居住するために住宅購入するわけであって、将来の売却のことばかり重要視してください、という意図ではありません。
ただ、不動産会社も工務店も「今の生活」に主軸を置いて提案する会社がほとんどなので、過剰なくらい心配するくらいが丁度良いバランスではないかと危惧しています。

それでは具体的に何をすれば良いかというと2点です。
まずは「街選び」。
現時点で人口減少が危険視されているエリアでないか?将来に渡って人口が維持できる産業基盤があるか?自治体は人口減少問題に対して具体的な施策を行っているか?など家の検討ではなく、住む価値のある街かどうかを判断します。
続いて「立地」。
わかりやすいのは最寄り駅からの距離です。
一部地方では幹線道路が鉄道の変わりとなるエリアもありますが、これから起こるであろう住むエリアの選択と集中を考えると、やはり鉄道を起点に検討する方が良いと思います。

街選びは「広域立地」、最寄駅からの距離は「狭域立地」と呼びます。
不動産の価値は立地が全てです。
良い家よりも前に良い立地かどうかが重要になります。

昭和・平成時代に住宅購入した親世代や、その時代で商売をしていた不動産会社・工務店の言うことは参考になりません。
これから起こるであろう人口減少に伴う、日本という社会の縮小に対して、真正面から受け止めて、それでも幸せに暮らす生き方を模索する上で、「いつでも売れる住宅購入」は非常に優先度の高い検討項目だと思いますので、甘い判断をしないよう注意したいところです。

 

 

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