指摘と否定
人に何かを伝え、行動を変えてもらうとき、言葉の選び方や声のかけ方で大きく印象は変わる。だが世の中には、「指摘する」ことと「否定する」ことが区別できない人は少なくない。
「指摘」には根拠があり、基本的に他の誰かにも当てはまることである。一方で「否定」は根拠に乏しく、特定の相手に向けられることがほとんどだ。個人攻撃と感じられることも多い。
伝える側にどのような意図があろうと、受けてが「否定されている」と感じたら行動は変わらない。「成長のためだから」という理由で相手を「否定する」上司は数え切れないほどいるが、「指摘」と「否定」の区別ができない人間に人の成長を語る資格はない。教育者の立場から見れば片腹痛い。
そもそも、人間は相手を育てようと思って育てられるほど立派な存在ではない。さまざまな人と多くの経験を共有することでのみ人は育つ。傲慢なことを考える者には、手痛いしっぺ返しがあることだろう。