ウクライナとロシアの戦線が完全に膠着し、ウクライナにはもうロシアに支配された地域を武力によって奪還する力は残されていないでしょう。ゼレンスキー大統領も最近は武力による領土奪還は諦めて対話交渉に切り替えると発言しています。しかしそれは日本の北方領土を見れば事実上不可能であることも分かります。また、ドイツやイタリアもどんどんとウクライナに支援をしなくなってきました。欧州各国は既に戦後を見てるでしょうからこれ以上支援をしても無駄だと思っているのかもしれません。ゼレンスキー大統領からすると、せめてNATOに加盟したいでしょうが、そもそもこの戦争がウクライナのNATO加盟を防ぐ目的があったことからそれを条件とした和平講和にロシアが応じるとは思えません。
そうなると戦後のウクライナは同盟や条約による防衛保障は不可能だということが言えるのではないでしょうか。どこも入れてくれませんし、そもそもロシアがそれを許しません。であれば、イスラエルのように自国の軍事力を成長させて防衛するしか道がないように思えます。結局、地政学的に同盟が組めない位置にある国の領土は自国で守らないといけません。いずれにしても、この段階ではどちらも譲らないし、米国のトランプ大統領はあのように言っていますが、アメリカにとっても簡単に終わらせられないと思います。もしアメリカがウクライナを脅して全てとは言いませんが領土奪還もNATO加盟も諦めさせたのなら、仮に日本の尖閣や台湾に中国が攻めてきた時もアメリカは同じことをすると見透かされてしまい同盟関係にヒビが入ってしまうでしょう。アメリカは対中政策に力を入れていく以上、そういった事態は避けたいはずです。そのため、ある程度面目を保った内容で終戦させられることも今後を考えれば大事ではないでしょうか。このように、ウクライナにとってアメリカの介入による講和はできれば避けたかったと思います。現状、武力による戦争終結が不可能になってしまった以上、これしか方法はないかもしれませんが、大国が介入してしまうとウクライナ側の主張が通しづらくなり、何かしらロシア側に譲歩する形となってしまいます。第二次世界大戦前のナチスドイツによるチェコスロバキアの一部併合に似ていますし、大日本帝国の歴史を見ても、かつての日清戦争では日清間で結んだはずの下関条約に対し、列強3カ国(露仏独)は三国干渉を行いその内容に異議を唱えました。大日本帝国政府は、確かにこれに屈しましたが、これにはあえて他の列強国(伊米英)に相談しないことで、これ以上列強国からの干渉をさせず、下関条約を清国に確実に批准させるという思惑が隠されていました。その外交手腕の甲斐もあり、列強干渉を最小限に抑え戦争を終結させることが出来ました。このように第三国が介入することが一概にいいとは言えず、どのようにしてウクライナ側の主張を通すかはその外交手腕にかかっています。