光を光線の集まりとして考える「幾何光学」

 

そうではなく光を「波面」として考える。

これを「波面光学」というのですが、この場合の「波面」とはなにか?

 

光は波の性質を持っています。

光源からは放射状に光が出ているわけですが同じタイミングで出た光は、まるで水面に水滴を落としたら同心円状に波紋が広がっていくのと同じように広がってゆきます。

 

 

その水面みたいなユラユラした面を「波面」というわけではありません。

 

それをもっと立体的に考えてみるとその波紋は光源を中心に球状に広がってゆきます。

光源から同じタイミングで出た光の波の大きさはその球面上では全て同じです。

 

この球の面のことを「波面」と言います。

 

 

光源から近いところで観察したら球面に見えますが、十分遠いと平面に近くなります。

 

 

レンズを通るとどうなるか?

屈折率の異なる物質に光が入ると光の速さが変わります。

空気中からレンズに光が入ると光はスピードダウンします。

凸レンズの場合は真ん中が厚いので、外側よりも真ん中を通る光の方が遅くなりその分だけ波面は真ん中が凹んだような形に変わってしまいます。

 

逆に凹レンズの場合は外側の方が遅くなるので、真ん中が膨らんだような形に変わります。

 

 

波面光学とはそのような波面の形で光学的な評価をする方法のことを言います。

 

人間の目も同じように考える事ができます。

それは「近視」であったり「遠視」であったり「乱視」であったりするわけですがこれも「波面」で考える事ができます。

 

しかし、目はそんな単純なものではありません。「眼球」は光学製品のような精密なレンズでできているのではなく結構細かい歪みを持っています。人の体が個人個人で大きく異なるわけですから臓器の一つである「眼球」だけが正確にできていると考える方が不自然なわけで、それはある意味当然のことです。

 

この細かい歪みは当然見え方に影響を与えますが、これを評価するためには「波面光学」の考え方がとても便利なのです。