ただよく見えているだけでは視覚は成立しません。
 
きちんと見たいものに視線を合わせる事が出来なければなりません。
 
そのためには「目」を動かさなければいけませんがそれを「眼球運動」といいます。
 
大きく分けて・・・
 
片目が見たい方向に向く動き「ひき運動」
両目が協調して見たいものに向く「むき運動」
そしてあらゆる距離のものに視線を合わせる(ようするに寄り目)「よせ運動」
 
というものがあります。
 
とりあえず、両目でものを見るという事をずっと書いてきましたからまずは「むき運動」について。
 
「むき運動」には2つの種類があります。
「滑動性眼球運動」
動いている目標をずっと両目で追い続ける能力です。
「衝動性眼球運動」
注目していた物から次のものへ、瞬時に視線を移す運動です。
 
そして「よせ運動」は近くのものに対し寄り目をして両目の視線を合わせ続けるイメージです。
 
さて、この眼球運動の良し悪しは運動や学習の能力に大きく影響します。
 
例えば「滑動性」が悪くて視線が泳いで目標を迷ってしまうようであれば、サッカーなどでプレーヤーやボールの動きを追い続ける事が困難になるかもしれません。
 
「衝動性」が悪ければ、文字のが次々に変化していく文章や、書き写しなどで視線を移して行く事が難しく学習効率に影響が出るかもしれません。
 
「よせ運動」が悪ければ、近くを見るのが疲れる、ダブって見える、そもそも近くを見ようとしなくなる事が起きるかもしれません。
 
人は映像を意味あるものとして認識し様々な情報を得ているわけですが、その入り口である目の見え方そして、目の動かし方の質が悪ければその後の能力に影響が出るのは想像に難くありません。
 
では、どうしたらいいでしょうか?
まず、チェックをして見ましょう。
 
必要なものは2つの目標(2色の色鉛筆とか、ペンの先とか、指でもいいです)
とお手伝いさん。
要するに2人で行います。
 
まず「衝動性眼球運動」のチェックから・・・
お手伝いさんは検査される人の顔から30cm離れたところで横に30cmの間隔で左右に目標を持ちます。
 
ちょうど30cmの箱を目の前に置いたイメージです。
 
検査される人は顔を動かしてはいけません。
そして、お手伝いさんの合図で右、左、右、左とリズムよく視線を移します。
その時にお手伝いさんは、すぐに視線が目標にあうか?視線が泳いで目標を探す感じの動きをしないか?顔が動かないか?をチェックします。
 
それを上下、斜め(右上左下、左上右下)の合計4方向行います。
 
「滑動性眼球運動」のチェックは・・・
お手伝いさんは今度は目標を一つだけ持ちます。
そして検査される人の顔から30cm離れたところの顔の真ん中に目標を定め、検査される人はそれを5秒くらい注視します。
ジッと視線が動かずにいられるかをチェックします。
そして静かに左右に30cmの幅で動かし、視線がスムーズについてくるかをチェックします。
スピードはだいたい1、2、3、4、5、6、7、8のリズムで1往復するイメージです。
そして、顔が動いてしまわないか?視線が変な方向に飛んで戻ってくるような動きをしないか?ようするにスムーズかどうかをチェックします。
 
「よせ運動」は・・・
お手伝いさんは同様に目標を顔の中心30cm手前に定め、それを徐々に顔に近づけていきます。
目標は見えるのであればなるべく小さなペンの先、怖ければ小さなキャラクターでもいいです。
 
ボケ始めるポイントがあるかもしれませんが、気にせず頑張って見続けます。
 
検査される人は目標が2重に見えたら「ハイ」と合図をします。
そしてその距離を眉間からだいたいでいいので測ります。
 
さらに、お手伝いさんは検査される人の目をよく見て、片目が急に離れたり、両目ががたつくポイントがあったらそこまでの距離が眉間からおおよそでいいので測ります。
 
その距離が「眉間から5cm以内」に入れば正常、それより遠ければ苦手ということです。
 
さて、では問題があった場合どうしましょう?
 
まず、「目」そのものに問題がないか眼科の先生に相談するのがよいでしょう。
そして、眼鏡が必要なのであればまず眼鏡を。
器質的な問題がないのであれば苦手な部分をトレーニングするのは効果があると思います。